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ポルトのLATESHOWのレビュー・感想・評価

ポルト(2016年製作の映画)
3.2
冒頭が「パターソン」ぽいのは
ジャームッシュ製作総指揮と関係はないのだろうが
粒子の荒いスーパー8や16ミリを使用しての絵葉書のような街のショット、稚拙なのか記憶の揺れを表現してなのかよくわからないカメラワーク、しかし陰影に富んだ美しい人物撮影とラブシーン。
劣化版「男と女」あるいは渋い「ロストイントランスレーション」と位置付けるには惜しい、アンティークショップで見つけた掘り出し物のような魅力はある。

見捨てられた男の老けた顔、
そして既に別々の時間を生きているのを理解している女が
それでも出会いの場所を傘越しに覗き込んでしまう感傷の眼差し。
ドアに立ち誘惑してくる女の夢。
海鳥が飛ぶベランダに立つ女の記憶。
男の未練と女の感傷をを絵葉書のように切り取り収めるカメラ。
一夜の夢物語だから
はじめから儚いのは分かり切っていたし
観終わってもさしたる感想は浮かばなかった。
雰囲気を気楽に楽しむだけの作品ではなく、観る側の人生と一瞬重ね合わせるための作品なのだろう。
ふたりがダイナーで出会うシーン。
ふと目と目が合い、女の視線はそのまま男へと。
長回しでカメラが移動する
その間の男女の客の動作が
ふたりの気持ちをうまく表していて
印象深かった。
所詮、行きずりの夜に舞い上がりいつまでも未練がましいのは決まって男なのだな...。
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