ジム・ジャームッシュ監督&リチャード・リンクレイター監督が太鼓判を推していたので観てみた。
ド派手な展開の映画ばかりに慣れてしまっている現代人からすると退屈と感じてしまうのも致し方ない映画だし、たしかに私ももうちょっと何か起きてもいい気はしたが、作り手が確実に映画狂であることがわかる“映画狂の手形”がしっかりとついた上質で詩的な映画だった。
人が人に恋する気持ちに理由なんてない。惹かれたからただ近づき、話しかけ、アプローチする。理屈では説明できない“何か”を詩的に描き出している映画だなと感じた。
極力セリフを省いた演出も良くて、35mm、16mm、スーパー8などを駆使して撮られたポルトガルのポルトの美しすぎる風景と映像、主演のアントン・イェルチンの繊細且つ枯れた演技、ヒロインのルーシー・ルーカスの美しさには息を呑んだ。
本作は監督がブラジル人の新人らしく、たしかにジャームッシュの影響は感じるのだが、全く別物でちゃんとオリジナリティーがあるなと感じた。
万人が“面白い”と言うタイプの映画ではないですが、観終わった後に少し心が浄化されるような、そしてちょっぴり切なさを帯びた美しい映画です。