あでゆ

ポルトのあでゆのレビュー・感想・評価

ポルト(2016年製作の映画)
2.4
ポルトガル北部にある港湾都市・ポルト。家族に見放されてしまった26歳のアメリカ人ジェイクと、恋人と一緒にこの地にやってきた32歳のフランス人留学生マティは、考古学調査の現場でお互いの存在を意識する。カフェでマティを見つけたジェイクは彼女に声を掛け、その後一夜を共にする。

アントン・イェルチンの遺作、ラストの「To Anton」の文字が本編の内容以上に切ない。
正直に言ってこの手のラブストーリーはあまり受け付けないタチだが、ジム・ジャームッシュ制作の作品と知って視聴。
結論から言って僕には非常に難解な作品だった。『パターソン』なんかよりも圧倒的に入りにくい。しかし駄目な映画だと言っているわけではない。あくまでロマンチックのかけらもない私には不向き。
とはいえ、「愛する努力はしない。ただ、愛する」というセリフは私にもとても美しいと感じた。無職が無責任によくそんなこといえたな、という気もしなくもないが。

時系列はバラバラで、使用する撮影機材すらそれぞれの映像の情感によって変化するため、場面によって解像度が異なる。一見すると内容が複雑になる構成だが、それが本作の夢のような一目惚れの物語をより幻想的に映す。

二人がカフェで出会うシーンや散歩するカットなどは長回しが用いられ、接近し、二人で場所を移動するという位置関係の明示によって、二者の関係が親密になっていく様子が暗喩的に描かれる。
ちなみにこの出会いは上映時間のちょうど真ん中、40分辺りから開始され、冒頭にループする仕組みになっている。
さらにベッドシーンなど、上から見下ろすカットなどが多く、これはジム・ジャームッシュらしいなと感じた。

どうでもいいけどこのベッドシーンがかなり激しめで割と観てられなかった。しかしこの手のやつって前戯なしにいきなり激しくおっぱじめるパティーンが多い気がするけどほんとにそういうのあるんですかね?
室内や顔に寄ったカットが多かったけど、いい街なんだからもう少しきれいな風景も見たかったな。
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