上海十月

戦争と平和の上海十月のレビュー・感想・評価

戦争と平和(1965年製作の映画)
3.2
ボンダルチュークは、黒澤明と会ったときに「戦争と平和」が酷評されて一緒にいたタルコフスキーが気の毒がった話が思い起こされる。黒澤明は、壁にぶつかったら「戦争と平和」を読み直すと言う信仰に近いファンであったので頷ける。この長い小説をハリウッドは、簡単にキング・ビダーで映画化しているが、当時のモスフィルムと軍の強力タッグにより、とてつもないスケールで映画にしている。しかし、なんか手持ちカメラみたいにしてあっち映し、こっち映しと忙しい。ワイヤーによる遠隔撮影とか新しい道具が投入されたもんだからやたらに使う。なによりも変なオーバーラップ画面が気分を害す。アンドレイの死に行くシーンは、あまりにもベタな演出でとても良いとは思えない。会戦シーンが観ていて厳しいのは、何やっているかがさっぱりわからない点である。そういえば「ワーテルロー」みたいだなと思ったら同じ監督だった。イタリア映画だから違うと思っていた。強いて言うなら4部目がちょっと面白かった。というのは、ピエールがナポレオンのモスクワ侵攻に怒ってモスクワに残って暗殺を企てようとしたりするからだ。でも映画的な魅力もなく終了。
3作目のときにナポレオンとロシア皇帝が会うシーンのとき三分割した時、アベル・ガンスの「ナポレオン」だなと思った。そしてやたらカメラが手持ちな感じは、この「ナポレオン」の影響かもしれない。でもアベル・ガンスは、使うシーンをわきまえていましたね。
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