大阪の泉南市には、石綿を扱う製造工場が点在し、栄えた。
そこで労働していた人や、その近隣住民に、25年以上の潜伏期間を経て、次々と肺に重い症状が現れるケースが多発する。
かつて工場を経営していた男性が被害者の会代表となり、国への補償を求める裁判を起こす。
被害者のインタビューにより、操業していた当時から石綿を原因に早死にしている人が多かったこと、貧しい人々が致し方なくやっていた仕事だったこと、
在日コリアンの方も工場に多く働いていたこと、韓国でも同じような被害ケースがあることなどがわかるが、
症状が急激に悪化する者が後を絶たず、次々と亡くなっていくことで、被害者の会代表者の男性の中に、焦りと罪悪感と、国への怒りが蓄積していく。
(「ゆきゆきて神軍」の奥崎氏と比較した?)原監督は、怒りを露わにしない住民の態度に疑問を投げかけるが、
住民の一人は、ルールに則って補償を得るべきで、怒りは無意味であると語る。
以下ネタバレ気味
控訴審で勝訴を収めるも、過去に国の責任を認めない判決も出たことから、代表男性は弁護団に秘密で、首相官邸に上告しないよう直訴を試みるが、門前払いにされる。
以後、代表男性と弁護団との意見の対立が目立つようになる。
最高裁での裁判中も、会の代表男性は厚生省大臣との直談判にこだわり、21日間面会を試みるが、厚生省は最小限の対応しかしない。
そして、ついに最高裁で補償を国に命じる判決が出たことで、弁護団も感情を露わにし、厚生省に対応を求め、泉南への厚生大臣の訪問謝罪が決まる。
補償の対象外とされた近隣住民や、被害者にとって、大臣の謝罪は心を動かす結果となった。
補償金の分配が無事進行するも、会の代表男性は、補償対象外の被害者の線引きをした判決や、それを仕方ないものと片付ける住民への疑問、国への怒りを募らせる。