すずや

マーウェンのすずやのレビュー・感想・評価

マーウェン(2018年製作の映画)
4.0
全然知らない映画だったんだけど、ロバート・ゼメキスの映画って聞いただけで行こうと決断して見てきた。
実際にあった事例を元にした映画だからか、すごくメッセージ性は強いし、そんなシリアスな現実世界をダークファンタジーに落とし込む監督の手腕はさすが。

傷害事件の被害者で、PTSDと闘いながらも、人形世界に逃避してばかりの主人公。傷害事件の公判にも向き合えない。そこに1人、新たな登場人物が現れたことで、彼の閉ざされた世界は少しずつ変わり始める。
彼のファンタジーな人形世界は突拍子もないけれど、話が進んでいくにつれてその人形世界は彼の体験した悲劇の投影であるとわかっていく展開が面白い。そうやって逃げられるはずもない経験から逃れようとするさまは痛々しいの一言だけど、苦悩に満ちているのもまたわかって心が重い。
あと私の心に残ったのは、「わかったふりをする友人」のなんと多いことか。確かに傷害事件の犯人は許せない。でもどうして、被害者であるマークに事件を思い出させることが辛いかに皆気づけないんだろう。普段ニュースなどを見ていても、どうしても皆が見落としがちな視点なのでは?と思わずにいられなかった。

あと、ロバート・ゼメキスとアラン・シルベストリのタッグがやっぱ好き。音楽が本当によかった。シルベストリの音楽だけで十分満足できた。
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