ノラネコの呑んで観るシネマ

ミスミソウのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

ミスミソウ(2017年製作の映画)
4.3
学園スプラッタ。
雪に閉ざされた田舎の中学で、常軌を逸したイジメを受けた主人公が、一線を超えたクラスメイトを血祭りに。
面白いのは、どんどんエスカレートするイジメの動機が、「キャリー」の様に純粋な悪意から始まったものではないということ。
特に3人の女生徒たちの愛憎が相互に絡み合い、他の生徒たちを巻き込んで複雑化。
だから終盤の驚きの展開を含め、この物語は単純な善悪の構図を構造から否定する。
ホラー耐性がない人にはキツイ、肉体的にも精神的にも容赦無くイタタな作品だが、青春映画としてもなかなか見応えあり。
ただ、リアリティラインはかなり問題ある。
発端の火事含め、後先考えないずさんな事件が次々と起こっているのに、警察の存在感が限りなくゼロなのは違和感ありまくり。
また主人公が手を伸ばした先に、偶然武器が落ちてるという、御都合主義としか思えない描写が3回もあり、最後は失笑してしまった。
映画的嘘でもいいのだけど、それらしくつき通して欲しかった。
このままでも十分パワフルな映画だが、もう少しディテールが詰めてあれば、とんでもない傑作になったかもしれない。
タイトルのミスミソウとは、春先に雪の中で小さな花を咲かせる草のこと。