ゆん

ミスミソウのゆんのレビュー・感想・評価

ミスミソウ(2017年製作の映画)
4.5
こじらせひねくれたオタクの考えうる最高の『美しい青春物語』がここまで完璧に映像化されることに感動。
これはあくまでも加虐と被虐に翻弄される美少女を愛でるフェチの世界だ。
そして原作に対して忠実な映画化かどうかよりも、原作漫画の重大な魂を確実に受け継いだ素晴らしい物語だった。

例えばその魂は
どす黒く、陰湿な美少女たちのこじれた愛情であったり
虐げられ続けた陰キャ少女の狂気による支配であったり
さえない男子中学生の、オタク趣味を活用した暴走であったり
いけすかないイケメンのダークサイドであったり
虐められた過去を持つ教師の、学校に対する恐怖と執着であったり
悲劇のヒロインが血に染まり、復讐に身を染める快楽であったり
これらの現象は全て狂っていて、時に社会的問題を孕むが、どこか現実的でない。
残酷を慈しむような歪んだ、倒錯した視点が、原作漫画の最大の魅力なのだと思っている。
いつも核には触れないような、幻想的な雰囲気で、まるで作り事のような激しい愛と憎悪が渦巻いていて、嘘みたいに大量に流れる血液がそれをより大袈裟なものにさせた。

中学生の物語なので、なんとかPG12に出来なかったものかと、それだけが残念。それにしても、歴史に残る名作ですよ。
ゆん

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