いの

ビール・ストリートの恋人たちのいののレビュー・感想・評価

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大丈夫?
 ---大丈夫



この映画で、愛し合うふたりは、互いを慮り、「大丈夫?」「大丈夫」と何度も口にする。その「大丈夫?」「大丈夫」が、とても印象的だった。冤罪を晴らせず苦しみ、全然大丈夫じゃない状況下で、自分自身のことよりも、まず相手に「大丈夫?」と声をかけること。それはものすごく優しい「大丈夫?」だった。愛にあふれた「大丈夫」だった。その「大丈夫?」「大丈夫」が、ふたりを支えているような気もした。そしてこのあとも、きっと2人を支えていくのでしょう。



美しい映像。やわらかな色味。主人公の女の子ティッシュの着ている洋服が清楚で気品があってステキで、そしてとてもよく似合っている。ティッシュの家族の結束。ファニーの家族。ジャズの他にも、繰り返される、弦楽器の奏でる音楽が情感を巻き上げる。そして、エンドロールで流れた曲が何という曲なのかはよくわかってないけど、そこでの歌詞「ピルグリム・ファーザーズが~~~」が良かった。歌詞を憶えて帰ろうと思ったのに、ピルグリム・ファーザーズしか思い出せなくて残念。そこに深い意味があるだろうと思ったのに。



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魅力的なメインキャストの他、ディエゴ・ルナ(『ローグ・ワン』、『エリジウム』)、デイブ・フランク(『ザ・ディザスター・アーティスト』)、ペドロ・パスカル(『ゲーム・オブ・スローンズ』)、エド・スクライン(『ゲーム・オブ・スローンズ』、『アリータ』のザパン)など、わりと最近知った方々が、脇を固めているのもうれしい! まさかここで知り合いに偶然会うとは!みたいな、そんな再会をしたかのような嬉しさがある。映画を知っていく楽しみはこんなところにもあるのかもしれない。


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それはわたしだけじゃなくて、多くの人がそうなんだろうと思うけれど、「大丈夫」という言葉をわたしは本当によく使っている。ちょっと心配になると「大丈夫?」と声をかけたり。不安そうな人に「大丈夫、大丈夫」と直感でキッパリと言い切ったり。私の「大丈夫!」が好きと言ってくれるヒトもまれにいるw。そして、自分自身に対しても、何かを乗り切らなくちゃならない時に、「大丈夫、大丈夫」と言い聞かせたりもする。「大丈夫」は魔法の言葉だと思う。


(でも、「大丈夫」が押しつけにならないように、かえって「大丈夫じゃない」という言葉を言いにくくさせちゃうことのないように。それもまた同時に思うことでもある。)





(過去レビューに少し加筆)
いの

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