JT

ビール・ストリートの恋人たちのJTのレビュー・感想・評価

3.9
感受性豊かにして叙情的で詩的
バリー・ジェンキンス監督は早くも独自のスタイルを確立させ、貫禄すら感じさせる

2019年35本目: 原題
『If Beale Street Could Talk』

70年代のニューヨーク
19歳のティッシュと21歳のファニーはお互いに運命の相手を見出し、貧しくも将来を共に歩むことを誓い幸せな日々を送っていた
ところが白人警官によって暴行犯に仕立て上げられてファニーは収監されてしまう...

映像の配色や撮り方、まどろむような音楽は前作同様に気品があって美しい
演技はアカデミーで助演女優賞をとったレジーナ・キングはもちろん他のキャストも良かった

前作の『ムーンライト』と同じく
マイノリティへの迫害を描いた作品
ただ愛し合っているだけなのに社会によって引き離される二人
黒人と白人、肌の色の違いで迫害される
その状況下でも屈することのない大きな愛
ティッシュとファニーの純愛とそれを支える家族の愛
『ムーンライト』では月に照らされる黒人の肌と青を基調とした色使いが印象的だったが
今回は太陽に照らされる黒人の肌と橙色や淡い赤色と言った温かい色彩で普遍の愛を表現した
現実は容易に変化することはない
それでも前を向く人たちの揺らぐことのない心
そして愛の普遍性を写した語り継がれるであろう美しい寓話のような映画でした
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