教授

ビール・ストリートの恋人たちの教授のレビュー・感想・評価

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率直に言って。
とても眠くなるような、良い映画だった。
睡眠不足で鑑賞した自分が悪い。
しかし、ちゃんと目が冴えて、涙が溢れてしまうシーンもたくさんある。

しかも、良い映画あるあるで「え?私、どうしてこのシーンで泣いてるの?」のオンパレード。
冒頭の家族集合の一悶着すら、ワンシーンだけで各人の考え方や背景などをしっかり情報量叩き込んでくる手腕が見事で、ひとつひとつのシーンの積み重ねで、大きなドラマの展開がなくても、ましてや大仰な演技や説明台詞がなくても、落ち着きまくった、そしてどのカットも静かでありえないほど美しい画面に映る人物たちの心情だけで涙が止まらない。

そして、そんな出来すぎた劇的な展開など、この映画の世界では起こるわけでもなく、淡々と、現実は進行して時間は流れていく。
「ムーンライト」でも同様に描かれた、必ずしも良い方向には進展しない現実に対しても、ずっと人間の心の奥底から流れている「愛」だったり「尊厳」だったりするものは、誰からも何からも奪われない。

それを音と、映像の力のみで語るわけだから、良い映画に違いない。
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