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ビール・ストリートの恋人たちのsssのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

『ムーンライト』を観てからぜひ観たいと思っていた本作を。たまたま先週近くのビデオ屋さんで借りたのが、図らずもこのタイミングで鑑賞することになってしまいました。

刑務所のガラス越しにふたりが手を合わせるシーンがなんともせつない。二人の衣装や傘を差して歩くシーン、音楽、台詞の間合いの一つひとつに心が揺れました。

印象的だったのが、ファニーが「俺には二つの宝物がある。彫刻刀と恋人のティッシュだ」と言ったときの、「俺には何もない」といったダニエルの目。ダニエルが二年の刑期に味わった闇を、彼のうつろな表情に見る。

香水売り場のティッシュの奥歯が痛くなるほどの笑顔も、なんといたわしいことか。

必ず帰るといってガラスの向こうに霞んでいくファニー。そして新しい命が生まれて、家族が愛で結ばれていることを象徴するシーンで映画は終わっていく。

今いろいろと考えさせられる題材であるし、(あえてそこについては言及しないけれど)
人を愛し、人に愛されることの尊さの余韻が残る映画だったな。今の心に染みます。

比べるものではないかもしれないけれど、この映画に、『ムーンライト』のような自己を解放していく過程での家族や友人との摩擦や葛藤が描かれていたら、さらに自分にとって大切な作品になったかもしれないな、とふと思いました。
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