ひとことで言いつくせない不思議な作品。
ハードボイルドでバイオレンスなのに、どこかおかしみやあったかさがある。なによりこの監督の作品には愛がある。
主人公がシブい中年女なのがまたいい。派手なアクションやドンパチの類は一切なく、舞台も地味な田舎町なのだが、文学的なテーマと演者のおかげでスケールの大きさを感じさせる。
オカシイけどどこか憎めない人物像はセブンサイコパスと同様。それぞれが信念に基づいて行動するのだが、どんどん破壊的な方向に進んでカオス…かと思いきやまた次のことが起きて収束し…と予測ができない展開でラストまでノンストップに引っ張る。
役者以外アカデミー賞が取れなかったのは、監督がハリウッドを皮肉ったりするからかな(セブンサイコパスみたいに)。
ある意味社会の縮図で、愛と憎しみのはざまにいる普遍的な人間の姿。そんな人間たちに救いはあるのか・・・あるよね?という監督からのメッセージ、しかと受け止めました。