人が人を赦すことを信じている映画。人種やセクハラ問題を抱える昨今のハリウッドで、本作が作られた意義はたいへん深い。あまりに性善的な展開ではあるが、内なる善の可能性を信じてなにが悪い。ミルドレッド、ディクソン巡査、広告屋レッドの3様の「気づき」と「赦し」に胸が震える。
前半の挑発的な言動や展開は、まさに繰り返される赤色が暗喩的に示しているといえよう。(他レビュアーさん曰く、キタノブルーならぬ“マクドナーレッド”とな。名言すぎ!)
後半、ある一点より赤色のイメージが薄まる。各人、心が氷解していくさまはまさに過去を“焼き払う”ようでたいへん印象的で美しい。
3枚のビルボードが立つ一本道、その道から外れることは、人の恨みの連鎖を断ち切ることに等しい。その体現者こそウディ・ハレルソン演じるウィロビーで、むちゃくちゃカッコいい(カッコいいハレルソンを撮ってくれて、ありがとう!)。
ハリウッドのショーレースどうこうでなく、志の高い映画でたいへん満足した。それでいてユーモアもある。傑作かよ