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スリー・ビルボードのマのレビュー・感想・評価

スリー・ビルボード(2017年製作の映画)
3.6
娘を殺された母親が、差別主義者の白人警官たちと関わり出してから、つまり映画の主要人物が大体出揃ってからも、「これどうなるんだ?」と良い意味で話がどこに向かっていくか分からない。要所要所でハッとさせられる暴力描写はあるけど、決定的な場面じゃない。緊迫してるシーンかと思ったらなんともいえないギャグ演出があったり、むっちゃ変な映画で捉えどころない感じだけど、最後まで退屈しなかった。

それぞれのキャラクターの一面的じゃない心情の描き方がきっとこれはとても上手いんだろう。僕が気づいてないだけで、セリフとか演技以外にも画面に映ってるモチーフでいろんな操作をしてる気がする。なだけに、後半のある人物の手紙が物語を動かしてく重要な要素になりだしてからは、(この映画はそっからが面白いやつなんだろうけど)「あれ、説明されてる...?」みたいな違和感を感じた。そっからは「どうなんの?」となったまましんみり終わっちゃって、ちょっと肩透かしをくらった気分に。でもニューシネマ的な開放感のあるあの終わり方は良かった。

主演がフランシスマクドーマンだし、やっぱりコーエン兄弟の「ブラッドシンプル」あたりを思い出した。でも登場人物にはしっかり人間味があって、ヒューマンドラマ的な要素もあるので、よけい変な感じ。人と人の関わり合いっていう、ともすれば「泣ける」テーマをこんな風な見せ方してるのが新鮮だった。
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