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スリー・ビルボードのjjjkのレビュー・感想・評価

スリー・ビルボード(2017年製作の映画)
4.2
かなーり期待して観に行ったけど、期待を裏切らず素晴らしかった。フランシス・マクドーマンドが上手いのは分かってたけど、サム・ロックウェルの役柄に痺れた。あれは反則ですよ…

どんな人にも必ず多面性があって、ミルドレッドを正義として描いていないところがいい。彼女の行動は大方褒められたものではないし、彼女自身がいい人間でも、いい母親でもないなーと思う。ただ、被害者が被害者ぶるというか、しおらしくしてなきゃいけないみたいな偏見を覆して、やられる前にやるという攻めの姿勢は、なんか去年見たELLEを思い出した。そういった多面性のある人間を演じきったフランシス・マクドーマンドはやっぱ見事。

そして、泣かせてくれるウディ・ハレルソン。彼がそれぞれの登場人物たちに語りかけるメッセージといったら…もう。なんかぶっ飛んだ役のイメージが強かったから、すごく新境地な感じがした。

そしてなんといってもサム・ロックウェルが素晴らしい。影の?裏の?真の主役と言っていいかもしれない。いかにもバカでマザコンで差別主義者で暴力的な警官というのを実在感たっぷりで演じているなあと思ったら、これがまた一筋縄ではいかない。アカデミーの助演男優賞いってほしいなあ。

一番印象的だったのは終盤のあのシーン。それぞれが邪険にしていた、なんなら敵対していた相手に手を差し伸べる、差し伸べられるシーン。あそこにこの映画の真のテーマがあるような気がする。

怒りや憤り、悲しみが多い映画なのに、ラストシーンにはそこはかとない愛や優しさを感じる。大傑作でした。
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