これは一体なんのはなしだったのだろう。復讐、もしくは希望に取り憑かれたひとびとの悲劇なのか、それともプライドと自我をめぐるコメディなのか。すべての悲哀に泣きながら笑ってしまうようで、すべての登場人物を憎みながら愛着を抱いてしまった。
さまざまな感情が、凛とした空気と毅然とした態度の中で、沸々と日常の中で渦を作り出していく。そしてラストシーンのセリフがすべてを許してしまうように響き、スクリーンが暗転する。それはこの先の道で決めればいいと。
すべての俳優がベストアクト級の魅力をみせているけど、こんなにサム・ロックウェルに釘付けになったのははじめてだった。