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スリー・ビルボードのkrhのレビュー・感想・評価

スリー・ビルボード(2017年製作の映画)
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殺伐としたサスペンスかと思ったら、軽妙な会話劇の楽しみもあるし、差別やなんかの問題提起もあり、なにより人生の話だった。

「怒りは怒りを来す」悲しみは怒りに変わり、怒りは憎しみに変わり、憎しみは増幅して意図しない形で連鎖していく。
彼らの、暴力的な感情の昂りと衝動が理解出来る。理解出来るから、彼らが次に何をしようとするのかわかる。わかるから、その瞬間が来るのがものすごく怖い。

でも結果として連鎖は後悔を呼び、後悔は憎しみを収束させていく。
登場人物たちの、震える手を振り下ろさず、むしろ差し出すようになる姿に泣けて来る。それは相手の気持ちに対する理解によるもの。同情と言ってもいい。諦めもある。でも根底はきっと愛。
完全に折り合いをつけて全てを終わらせる最後のドライブ。彼らが乗り越えた瞬間に泣いてしまったし、いくら壮絶な憎しみの連鎖でも終わらせることができるのだと、希望がもてた。
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