あまのかぐや

スリー・ビルボードのあまのかぐやのネタバレレビュー・内容・結末

スリー・ビルボード(2017年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

おおおぅ…
これは感想書くのが難しいです。
実際、鑑賞後、帰りに同行者のオットとお互いの考察をいろいろ弄り回して、そういう意味ではとても楽しめました。
ポスターにもあるフランシス・マクドーマン、ウディ・ハレルソン、サム・ロックウェルが素晴らしくよかった。
この3人が登場人物であること、そしてアカデミー賞でもっとも注目されている作品であること。自分はその程度の予備知識で劇場に向かいました。コメディだかホラーだか、サスペンスだか、そんな分かり易くジャンル分けされるものでもない。
 
娘が強姦殺人、事件未解決のまま捜査が宙ぶらりんで数か月を過ごしている母。
無能な警察、署長と、3枚の看板で名指しで糾弾される警察署長。
その部下だった警官。

1つの事件を中心に、彼らは、過去に大きな負い目を持っている。

マクドーマンの行動原理さえ、犯人憎しというより、半ば喧嘩状態で悪態を残して娘を死なせてしまった自分にむけた内なる怒りのようなものを感じた。

彼らはそれを贖うために奔走する。一度希望をつかむも、それは儚く打ち砕かれる。
頑張ってはいるが、負い目は、そんなことでは贖いきれないほど大きい。
いや大きさではなく、そう簡単に取り返せるものではない時間の意味を、いやというほど突き付けられた。

果たして救いはあったのかな。
犯人は結局わからないままだったけど、彼らは自分を、そして怒りの矛先を許すことで、少なくとも「何か」からは救われた気がする。

彼らが向かう先に復讐バイオレンスのカタルシスがあるかどうかも曖昧だけど、何処か希望が感じられるラストシーンで、わたしはそう感じました。

サム・ロクウェルに半殺しにされた広告屋のおにいちゃん。
マクドーマンの元夫の、バカ彼女。

端役とおもっていたら、じつは彼らにハッとさせられることがありました。

じぶんの罪に追われ、ひりひりするほど爆発寸前の風船みたいに張りつめていた心から、ふっと空気が抜けるような。

行動も心理状態も緊張感だらけの登場人物たちに、一瞬たりとも目が離せなくてエンドロールが終わるころぐったりしてた。ど派手な演出や特殊効果などはないけど、脚本力、演技力でぐいぐい引っ張られる映画らしい映画。良い映画だけど頭痛がするほど消耗したから、何度も見たいとはなかなか思えない。そんなとこは、ちょっとクラッシュとかファーゴをおもいだしたかな。




大好きなウディハレルソン兄貴が、良い役やってると、それだけで嬉しくて咽び泣ける。これからもいろんな役の兄貴が観たいわ。
あまのかぐや

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