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スリー・ビルボードのadagietteのレビュー・感想・評価

スリー・ビルボード(2017年製作の映画)
4.5
これ、映画というよりも、舞台劇のような脚本?
さりげないようで、なかなか不自然な成り行きでもある。
成立しているのは、役者の上手さーーーというより存在感そのもの故?

マクドーマンド演じる母親は、19歳の娘が地元の路上でレイプされ焼き殺される、というこの世の悪夢の中にいる。
ただ、彼女自身も過剰に暴力的な女性。
良い母親だったか?というとそこも疑問。。。

母親がもうひとり、ひどい人種差別主義者の警官ディクソンの母。
これもダメ親で、ディクソンのダメっぷりはこの母親の影響が強い。
典型的な 母子癒着。

このディクソンと マクドーマンドが のっけから対立しているーーというか憎悪の応酬がえげつない。
だが、もうひとりの際立った存在 署長のハレルソンは、ある意味ヘタレなやり方で退場していく。 
が、退場後の置き土産が「立派な父親」的機能を果たし憎悪が解ける緒となっていく。。
あ、ハレルソンの後任署長も立派な方だなぁ ....
広告会社のレッドくんや、小人症のジェイムスも、小市民なりの小さな正義で ダメダメなマクドーマンドとディクソンをささやかながら支えるんだよね。

マクドーマンドはFargo でもオスカーもらってることもあって、なるほどフムフムな演技なんだけれど、ダメ警官ディクソンはインパクト強かった。
最初に運転しながらmow! mow! って叫びまくるカンジ悪さったらない。暴力的差別主義者であることが端的に表現されてる。
この人、20年前くらいの 映画版チャーリーズ・エンジェルス (大好き!)の敵役に似てるなぁ ... と思ったら、その通りだった。
サム・ロックウェル!
すっかりおじさんになってて、体重もだいぶ増やしたか?あのイヤ〜なカンジの出し方は磨きがかかってたなぁ。

最後まとめていくくだりは、安易な気もするけれど、まぁ気持ちはわかる。
痛みを分かち合い、心から共感してくれる人がいること。
傷を癒すのは復讐ではなく ......

冒頭の庭の千草 は Renne Flemming
これが母性溢れる歌唱。象徴的。
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