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スリー・ビルボードのKotaのレビュー・感想・評価

スリー・ビルボード(2017年製作の映画)
4.4
“嫌がっても言うぞ。愛だ。”

感情表現が素晴らしすぎる。娘をレイプされ殺された母ミルドレッド(フランシスマクドーマンド)と、犯人を逮捕できない警察署長ウィロビー(ウディハレルソン)とその部下ディケンズ(サムロックウェル)による繊細な演技が全て。奇妙な三人の関係はそれぞれの絶えられない痛みがぶつかり合い、形を変えていく。舞台はタイトルにもなっているミズーリ州。アメリカでもっとも人種差別が強い州の中の閉鎖的な町。タイトルであり、州の形がポスターにも乗るところが、いかにこのロケーションが重要なのか表している。

主役の三人は全員今年度のアカデミー賞にノミネートされているが、個人的に三人とも昔から好きで、“ファーゴ”のフランシスは言うまでもないが、ウディハレルソンならば“ゾンビランド”や“スウィート17モンスター”、サムロックウェルなら“プールサイドデイズ”と好きな映画ばかり。この三人以外にも、“マンチェスターバイザシー”のルーカスヘッジズや“ゲッドアウト”のケレイブランドリージョーンズなど、ニッチなんだけど演技派な俳優達が最高。

3つのビルボードに書かれた罵りと、そこから生まれた3つの愛の手紙。忘れかけていた愛を思い出すように、最後のミルドレッドの笑顔とディケンズとの会話が何ともいえない余韻を残し、テーマは重いのに「あぁ、いい映画だな」と思わせてくれる。
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