緑雨

スリー・ビルボードの緑雨のレビュー・感想・評価

スリー・ビルボード(2017年製作の映画)
4.5
自己決定と自己解決の美学。法と世論とのせめぎ合いの中で、私刑はその位置付けを相対化していく。米国流リバタリアニズムの極致。ポリティカル・コレクトネスの時代に一石を投じる。

最初はステロタイプに思えた物語構図が、悪意が悪意を、善意が善意を、熱意が熱意を呼ぶことで、登場人物たちの行動が相互に影響し合い、まったく予期せぬ方向に複雑に転がっていく。
「正しさ」ばかりが要求される世の中で、何が「正しい」ことなのかを抉り、揺さぶっていく。

この映画には、あの投げっぱなしのラストこそが相応しい。
緑雨

緑雨