あおい

スリー・ビルボードのあおいのレビュー・感想・評価

スリー・ビルボード(2017年製作の映画)
4.3

最近、実話ベースの感動作品が多い気がしていたけれど、これは虚構が持ち得るインパクトの凄みを感じた。
3枚の看板広告が閉鎖的な田舎町の人の心を動かしていくという発端が秀逸だ。
広告が、他人事な人の心に及ぼす効果。

中盤は、どんどん覆る全く読めない展開で誰しも悪人でも善人でもあり、(殊に善人と街中の人に言われてる署長のミルドレッドへ宛てた最後の手紙は、強烈な復讐でしょう‼︎)ボタンのかけ違いのように、「怒りが怒りを来す」怒りの連鎖をサスペンスさながらに緊迫感をもって描く。

ミルドレッドの痛みや苦しみが、ある回想からキツイほど伝わるけれど、だからって許される行為をしてる訳でもない。
だからこそ、ラストのディクソンとの会話シーンは良かった。
ディクソンもまた、許された人だったから。
明るい日差しと牧歌的な風景も印象的。

暴力や差別といった重たい問題を内包しながら、緊迫感のある展開であるのに、鑑賞後は、ディクソンの変化と共に、人間を慈しむような心優しい印象を受けた

俳優陣の演技に唸ってしまう!特にサムロックウェルが良かったなぁ
あおい

あおい