Akiyoshi

スリー・ビルボードのAkiyoshiのレビュー・感想・評価

スリー・ビルボード(2017年製作の映画)
4.7
前情報ほぼ無しで観て正解だった。様々な仕掛けがとてもスリリングな展開を作り出し、奥深い脚本と人の変化に目頭が熱くなったり、心臓がバクバクしたりと身体の新陳代謝やらが活性化しまくったと思う。すごく良い映画だった。

アカデミー賞レースを争うにふさわしい映画だった。人の喜怒哀楽がすべて表現され、観客にも喜怒哀楽を溢れさせるという素晴らしい力がある映画だ。まず、怒りと悲しみを表現するミルドレッドを演じるフランシス・マクドーマンドが凄い。感情がエネルギーになって伝わる演技力は初めて観た。いや、感じた。

特筆すべきは実話ではない完全なフィクションの脚本。架空の物語に人間のリアルがある。観客の求めるものを魅せるあざとさもありながら世界と現実をフィクションに含めて伝えようとする姿勢が良かった。自分の持っているモラルや価値観を揺さぶる内容とキャストの持つ力強さに、やりきれない感情が爆発する。どうすれば良いのか自分でも分からない、行き場のない感情が渦巻くのが客観的に感じられた。感情に訴えかける脚本が素晴らしい👏

善人などなかなかいない。しかし人がどう変化するのかも分からない。良くも悪くもなるのが人である。私たち人にある喜怒哀楽はその変化に関して重要な役割を果たす。喜び、怒り、悲しみ、楽しむ。そんな感情エネルギーの力が、人を変えさせる。人は変わる。人は変わるのだ。
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