Ayakashd

スリー・ビルボードのAyakashdのレビュー・感想・評価

スリー・ビルボード(2017年製作の映画)
3.8
むーーう。骨太である。事件解決のカタルシスを安易に観客に与えないところが好きだ。これは、問い問われ、揺さぶられた街と人々の物語なのだ。
「問う」という行為がどういうことなのか、をまざまざと見せつけられる映画だったな。月5千ドルも出して看板立てなくても簡単に、気楽にインターネットで「問う」の真似事ができる時代だけど、「問う」ことの覚悟を見せられる映画だった。問うほうも、問われるほうも、命がけだ。だからある意味、とてもジャーナリスティックな映画だと思った。
そして、サム・ロックウェル!!!!!彼の演技!!!!目ん玉ひん剥くわ。まじでひん剥くわ。中盤、心から、誰かこいつを撃ち殺せばいいのに、って思わされるのに、クライマックス。もうほんと、サム・ロックウェル!!!気絶しかけたわ。
人間って本当に簡単じゃねぇなと思うよね。このサム・ロックウェルを憎むことは本当に簡単。死ねばいいのに、って思うことは本当に簡単。そこに安住するわたしはとても簡単。でも、そうじゃないんだよな。観客は、サム・ロックウェルにえもいわれぬ感情が湧いて、彼をどう思っていいのかわからなくなる。そこに狙いがあるのだとしたら本当に天才だと思うわ。嫌うことも憎むこともとても簡単。そんな自分に疑いを持つことは終わりがない苦しみ。でも、そうありたいと思わされた。サム・ロックウェル見てて。いやもーほんとにすごかったよ。
アカデミー賞よかったねん!
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