takanoひねもすのたり

スリー・ビルボードのtakanoひねもすのたりのレビュー・感想・評価

スリー・ビルボード(2017年製作の映画)
4.2
久々に予想を外していく気持ち良さを味わった作品。すごく面白かった。

とにかく外しがうまい。
例えば署長は序盤で膵臓ガンで余命幾ばくも無いと明かされる、だからこっちはそうなのねと思っていると、それをポンと外してくる。
そういう外しと伏線があちこちに仕掛けられてて呻りました。物語のうまさ。

3つの広告看板から広がる波紋。最初の駒を倒したらパタパタ倒れていくドミノ倒しのように次々と何かが起きて倒れて。
そこに関わる人たちにスポットを当てて、それぞれの多面性見せる演出もうまくて。
どこか共感する部分と反発する部分があり、人って何て複雑で単純で愚かで愛おしいのかってドラマの部分に翻弄されました。またその視点が重い題材を扱っているのに、どこか温かみがあり救いがある。

そもそもの発端が、母さんの取り返しのつかない一言というところが辛い。でもそういうこともあるって知ってる、分かる。
ドラマ部分の共感性が高くて「分かる…」というのが多いのに、輪郭を掴むのが難しい、帰り道「これってどういう映画だったんだろう」とずっと考えしまうそんな作品でした。

そして娘の部屋に貼ってあったニルヴァーナのポスター。くっそRape meだわ、にくそい 笑