うえの

スリー・ビルボードのうえののレビュー・感想・評価

スリー・ビルボード(2017年製作の映画)
3.9
ミズーリ州エビングという小さな町で10代のアンジェラヘイズがレイプされ、殺害されてから7ヶ月。
一向に進展のない警察の捜査状況に不信感と怒りを募らせていた母ミルドレッドは3枚の広告板を借り、地元警察を中傷するメッセージを張り出す。
その3枚の看板をきっかけに動き出す警察と町を敵に回したミルドレッドの孤独で壮絶な戦いを描いた作品。

おそらく2018年の映画賞レースで「シェイプオブウォーター」との2強で注目されていた作品。

母ミルドレッドの犯人を捕まえるためであれば町中を敵に回しても構わないという固い決意の下、襲ってきた歯医者の指にドリルをねじ込む、火炎瓶を警察署に投げ込むなどの過激な行動に出る様をフランシスマクドーマンドが迫真な演技でみせる。
中傷の標的となったウィロビー署長と彼を慕う部下のディクソンにそれぞれウッディハレルソンとサムロックウェルがキャスティングされ、メインキャスト3人の演技力のみで十分な見応えを感じさせる。

特にこの年の助演男優賞を受賞したサムロックウェル演じるディクソンは見ものだ。
ウィロビー署長の死に強い憤りを感じ、感情の赴くがままに問題の看板を管理する広告代理店のオーナーであるレッドを暴行の末、2階の窓から叩き落とす長回しのシーンや犯人の疑いがある人物に対し、あえて暴行を受けることでDNAを採取することに成功する終盤の血まみれのシーンなど、まさに体を張った名演で観客の心を静かに熱くさせる。

後味の良いラストではないものの、メインキャラクターの覚悟を持った生き様が素晴らしいと感じた。
自身のやり方が正当であると決して疑わずにいる素振りを見せるミルドレッドが実は娘に対しての深い後悔の念を抱いていたり、レイシストでキレやすく厄介者な存在のディクソンを実はウィロビー署長が大きく評価していたりと各キャラクターの意外な一面があって、そこが大きくストーリーに関わっていく点が特徴的で面白いと感じた。

とりあえずディクソンによる窓からレッドぶん投げの長回しシーンは2018年の洋画を代表するシーンだと思う。