つなころ03

スリー・ビルボードのつなころ03のネタバレレビュー・内容・結末

スリー・ビルボード(2017年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

重く深い内容ながら、先が読めない展開や派手なシーン(署長自殺、窓からポイ、ビルボード炎上、火炎瓶などなど)が散りばめられていて、エンターテイメント性があって良かった。

▪️複雑な人間の心。
基本的には善良な心を持ち合わせている者たちが、立場の違いと、自分の内側の問題を上手く解消できないがために、他人を傷つけて負の連鎖に陥っていく。こういうごちゃごちゃした心を描いた映画、好きです。

▪️ミルドレッドの自責の念と、娘への想い。
ウィロビー署長が実は先が短いと告げた時、そんなことは知っているミルドレッドが「死んでからじゃ遅いでしょ(だから今ビルボードを立てた)」と言う。
後に娘が死んだ経緯を知ってから振り返ると「娘は死んでしまった。どうあがいても自分のしたことは取り消せない。だから、他人から批判されても、犯人逮捕のための努力をしないわけにはいかないのだ」と追い詰められていたミルドレッドの心に気づく。
一般的に考えてミルドレッドのしたことは正しくはないと思う。結局は他人(ウィロビー)を犠牲にして自分が救われたいというエゴ。でも、娘をレイプして焼き殺され、しかもそれが自分のせいだと思ったとき、一般的な「正しさ」とミルドレッドの中の「正しさ(何よりも犯人逮捕優先)」が食い違ってくるのは無理ないとも思う。

▪️レッドの優しさと強さ。
オレンジジュースをあげるシーンが一番すき。
どう考えても言葉一つで赦せるようなことじゃないと思うけど、レッドはそれをやってのけた。怒りは消えていなかったけれど、それよりも「すまなかった」と言ったディクソンの気持ちを汲んだ。怒りに負けず負の連鎖を断ち切った瞬間。

▪️「道道決めればいい」と言うけれど
ウィロビーはミルドレッドを
レッドはディクソンを
ミルドレッドは元夫を
ディクソンはミルドレッドを赦した。
そしてディクソンに「他に誰がやるんだよ」と言われて心から笑ったミルドレッドは、既に自責の念と憎しみとに捕らわれてはいない。
この終わり方、とても好きだなあと思った。
つなころ03

つなころ03