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スリー・ビルボードのsignaldadaのレビュー・感想・評価

スリー・ビルボード(2017年製作の映画)
2.5
コーエン兄弟作品で個人的には馴染みのあるフランシス・マクドーマンドが、レイプされ殺された娘の復讐に駆られる進撃の母を演じるクライム・サスペンス。それなりの雰囲気で進むアカデミー賞作品もしかし、物語が中盤を過ぎるとダイナミックなクライムは疎か、犯人や謎を解明するといったスリリングな類からそれまでの威圧的なテンションが一斉に引いていく。あの手その手の作品だと勝手に思い倦ねていた自分へこれほどまでにオルタナティブな脚本が揺れ寄せるとは想像もしていなかった。他者への無関心こそがあらゆる悲惨な事象の根源だと気付き、対象者への赦しこそが憎しみの連鎖を止めることが出来るというなんともビタースウィートなエンディング。ラストシーン、偉大なる逆襲の母マクドーマンドのあの笑顔が最上級の「赦れる」なるものだろうか。
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