のんchan

16歳、戦火の恋ののんchanのレビュー・感想・評価

16歳、戦火の恋(2018年製作の映画)
4.0
最近何故だか、立て続けて同じ時代のナチスに苦しんだ人達の作品を選んでしまう。全く無意識なのに...

この作品はフィクションだが、歴史的記録に基づいているという。
アマ・アサンテ監督はある時、ナチス時代のドイツで撮影された、黒人の女子生徒の写真を見つけた。白人のクラスメートに混じって、この女生徒は謎めいたまなざしを別の方向に向けていたのが気になったそうだ。そして、この少女が誰なのか?ドイツで何をしていたのか?
その後、【下調べ⤵︎】を続け、映画化するのに12年も掛かったらしい。

【ナチス時代の1933~1945年、ドイツには何千人ものアフリカ系ドイツ人がいた。
彼らは白人との恋愛・婚姻関係を禁じられ、教育を受けられず、一部の職業から排除された。去勢される人もいれば、強制収容所へ送られる人もいた。
この時代のアフリカ系ドイツ人の話は、これまでほとんど語られてこなかった】


主役に『エブリシング』『ヘイト・ユー・ギブ』等で圧倒する演技を見せつけたアマンドラ・ステンバーグ✨と『1917 命をかけた伝令』主役のジョージ・マッケイを起用‼️
2人とも役にドンピシャに嵌っていた‼️


1944年、16歳のドイツ人のレイナは見かけが黒人(母親はドイツ人、父親はアフリカ系フランス軍人だったが戦死)である事で、学校へも通えなくなり、事もあろうに強制不妊手術をさせられる手前だった。
母は娘を守るべく、偽証明書の為に駆けずり回るが捕まってしまう。
街中は日々ナチスの取締りが強くなる中、父親もナチス軍人である1人の青年兵士ルッツと出逢い、お互いに強く惹かれ合う。

レイナは強制的に収容されて髪の毛は丸刈りにされてしまう。食事も最低限であり、ただでさえ栄養不足になるところ、お腹の中に新しい命を授かっていた。

ルッツの父親が同じ収容所の上官だったが、そこへ息子も呼び寄せた形で2人は偶然にも再会する。なんとか2人で逃げ出そうとするルッツ。そんな事が許される筈もなく、2人の仲を知った父親が、ルッツの背後から銃を向ける...


なんとも悲恋物語で辛い切ない話でしたけど、その時代、このように苦しんだ人々が大勢いた事を知れた。


アサンテ監督の言葉
「ナチスドイツに暮らしていた黒人たちが経験してきたことは多くが無視され、最近では否定もされていると思う」

ガーナ系イギリス人のアサンテ監督は、欧州の歴史ではアフリカ移民の役割や存在が見逃されてしまっていると感じている。
しかしこの映画を見れば、黒人もまたナチスの支配下で苦しんだという事実を否定できなくなるだろうと話している。
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