紅蓮亭血飛沫

ドルフ・ラングレン ゾンビ・ハンターの紅蓮亭血飛沫のレビュー・感想・評価

2.0
邦題に“ゾンビ・ハンター”とありますが、相手にする怪物はゾンビと言うよりは“悪霊の類”なので軽くタイトル詐欺ですね…。

本作の敵は太古の昔から存在する悪霊で、人に憑依して誰かを無作為に殺害するモンスターと化す、その人物を殺したら今度は自分に悪霊が憑依し乗っ取られる、また殺戮を繰り返す、別の人物がその人物を殺す、またその人間に悪霊が憑依して…といった厄介な特性を持っています。
この設定は中々によく出来ていますね、とても良いです。
手違いでも憑依された相手を殺してしまえば、今度は自分が憑依されて殺戮を繰り返す怪物と化してしまうわけですからね。
教会を舞台に住民が集まったのを見計らって、怪物が人々を襲いパニックになった中盤にて、この設定の恐ろしさ・魅力を爆発させる決め手を生み出した構成も素晴らしい。
相手を殺害し、自分に乗り移った頃を見計らって毒や爆弾で自殺する事でようやく倒せる…といった相打ちのような形でしかこの手の悪霊は倒せない、そのバランスがとても良い。
とりあえず相手の頭ぶっ飛ばせばいいって簡単な話でもないが故に、下手に攻撃できないというジレンマが際立ち、物語にアクセントをかけています。

ただ、ドルフ・ラングレン演じる主人公がその設定故にろくに反撃できない、子どもの頃からこの手の悪霊と戦ってきたベテランを装っているにも関わらず、用意する武器は捕獲用の縄発射武器ぐらいで戦闘面では結構弱い…とドルフ・ラングレンという一流アクション俳優を起用したというのにいまいち活躍がパッとしないまま終わってしまった、という肩透かしを食らうのが残念…。
子どもの頃から悪霊に対しての知識や経験があった、といった過去話をしているのに、対策武器が縄と毒薬を作るだけって流石にどうなんですかね…。
あ、ゴア・グロ描写は今時珍しいぐらいのチープさバリバリですが、これはこれで結構いい味出てて私は嫌いではないです。

本作、ドルフ・ラングレンのような見映えだけで相手を圧倒できそうなオーラに包まれている有名俳優でなく、そこら辺の一般人役が似合う俳優をベースに、必死に戦う決意を固めて一皮剥ける作風にした方がまとまり易かったのではないかな、と。