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ミステリーロード/欲望の街のrollinのレビュー・感想・評価

3.8
ずっとレンタル中で泣いてた僕に諦めるな!と叱ってくれた(事実無根)コブラ修造アニキありがとう!

オーストラリアの歴史はアメリカとよく似てる。人の手によって敷かれた果てしなく真っ直ぐな道と、神がデザインしたモニュメントバレーのような全裸の景色。この双極性と認知的不協和が『マッドマックス』と『奪還者』を生み、ライトサイドの狂気は『荒野の千鳥足』を生んだ。そんな国。

映画の始まり方は『トゥルー・ディテクティブ』や『マーシュランド』を彷彿とさせて期待が持てるし、暴力や犯罪に汚染された大人の世界との間に柵が設けられていない子供たちの描写は『冬冬の夏休み』を思い出す。

鑑識のプロフェッショナルな台詞はどんな作品でも勉強になるし、銃砲店に並ぶ長竿の豊富なバリエーションは、国土の広さを容易に想像させる。

地平線を炙るオレンジ色の陽の名残り。その手前で蠢く影絵のような人間の挙動。定規で引かれた人間の縄張りを示すための、俯瞰を超えた上空からの視点。地上は汚れ腐ってしまった。
特に印象的なのは一点透視の構図。このレイアウトでパキッと画作りが出来る監督は本物というのが持論です。

画面の割れたスマホを使い続け、父の形見のウィンチェスターM68を愛用する主人公ジェイ。拘りと現実逃避は、ほぼ紙一重なのかもしれない。
彼の捜査方法、もとい映画自体がかなりマイペースで、いくらか冗長に感じるシーンもあり。ただし極端なクローズアップによるインサートの繰り返し=このアイテム何か重要なんじゃないの??という思わせぶりや、画面に漲るコクや演技の間によって、常に一定の求心力をキープしているのでがんす。宗教的ゴシップやエログロがあればもっと良かったかな。

ヒューゴ・ウィーヴィングは「じきに無法地帯になる」と言っていたけど、暴力をまるで紫外線のように浴びながら笑っている子供達の姿に、もっと根の深い絶望を感じました。


そしてラストのジェイソン軍団とのドンパチがとにかく名場面すぎる!!
丘をひとつ離れて待ち構えるシューターによる、発砲から弾着までの雷のような時間差。ハンドガンによるモタついた生々しいキル。『ローン・サバイバー』のような、長距離ならではの弾着位置で精度を高めていく緊張感。ターン制の射撃戦など、『最後の追跡』以上のリアルさがハンパない。

ラストカットも秀逸!
ジャケットがヒューゴ・ウィーヴィングと対決!!みたいになってるのはどうかしてるし、全世界絶賛とか書かなくても好きな人は絶対好きな映画やで。
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