NAOKI

ミステリーロード/欲望の街のNAOKIのレビュー・感想・評価

3.8
75人がクリップし、19人しかマークしてないこの映画。

拾い物とか言ったら失礼だ…傑作じゃね?

オーストラリアと言えば「マッドマックス」ですが、シリーズを通して時々出てくる独特な台詞回し…えっと「怒りのデスロード」を手元にお持ちの方(はい、病気の人たちですね😁)ジョーの要塞でマックスが血液袋としてぶら下げられてる下で輸血担当の男がニュークスに向かって…
「ここにガス欠の戦士がいるぞ~」みたいなことを言うあの言い方…
まるで詩を諳じているような独特な節回し…シリーズ全体に出てきててっきりジョージ・ミラーのセンスなんだと思ってたらこの映画にも出てきました。オーストラリア訛りってやつなんですね!おれ大好き!

トラック運転手が荒野でアボリジニの少女の遺体を発見する冒頭、主人公が現場にやって来て他の警官と言葉を交わす…なんてないお約束のシーンだけどここの言葉選びが傑作の脚本をすでに予感させる。

「ドライバーが野犬(ディンゴ)の声を聞いて…」
「なぜ野生の犬だとわかった?」
「鳴き方とかで分かるんですよ…恐らく」

「これはお前の足跡か?」
「はい、たぶん」
「現場の保存は?」
「必要ないですよ…荒野の真ん中ですよ」

「あいつらは地下鉄に乗って町にやって来て飯をあさり朝の始発で帰るんだ…地下鉄に乗る犬たち…信じられるか?世の中がおかしくなってきてる」

もう、たまりません。

だけど映画全般は地味~で地道な捜査…捜査…捜査…溜めに溜めてのラストのクライマックス。

今の映画ファンの人たちは退屈してしまうかもしれませんが昔の映画ってみんなこんな感じだった。制作費なんかの関係もあったかもしれませんが、とにかく見せ場のアクションがラストのクライマックスだけってそんなに珍しくはなかった。

おれの映画好きを決定付けた「タクシー・ドライバー」とかね、途中で雑貨屋強盗に出くわして38口径を1発撃つだけで後は全てラストに凝縮してた。
この映画も同じ…クライマックスはしびれました。

そしてもうひとつ…この映画は「神の目」を捨ててる。普通映画には神の目視点がある。主人公が見てないどころか誰も見てないシーンを観客は目にすることによってストーリーを追っていく…
「神の目」がない代わりに変なショットがよくはいる…上空から見下ろしたような(恐らくドローン撮影かな?)ショット…「神の目」のようで何の役にも立たない「死人の目」だ。

おれたちは主人公と同じように手探りでまるで霧のなかを進むようにこの映画を追うことになる。

「全世界絶賛」は言い過ぎ…
「ノーカントリー」
「ボーダーライン」
「ウインド・リバー」
なんかが病的に好きな病気なおれは絶賛します。

「銃は?」
「ウィンチェスターM68」
「ずいぶんと古い銃だな…入手困難だ…そんな銃でこの町でやってけるのか?じき…無法地帯になるぞ…火が燃え広がるように…あっという間にな…」
NAOKI

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