ガーンジー島の読書会の秘密の作品情報・感想・評価

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「ガーンジー島の読書会の秘密」に投稿された感想・評価

開明獣

開明獣の感想・評価

5.0
この映画の原作者である、メアリー・アン・シェイファーを想う。

オハイオ生まれの彼女は、作家になることがずっと夢だったという。子育てもしながら、常に本に携わる仕事をしていく。図書館の司書の仕事を経て、書店の店員をし、出版社の受付から編集者へと這い上がっていく。イギリス旅行の際に、たまたまイギリス領チャネル諸島が第二次大戦中、ドイツの占領下にあった事を知る。メアリーは、そのことに着想を得て、「ガーンジー島の読書会」を執筆する。彼女の処女作は全世界で数百万部を売ったベストセラーとなった。

イギリスとフランスの間に横たわるドーバー海峡は、最短距離で35キロ弱で、距離はさしてない。ドーバーから、フランスのカレーまでは、高速フェリーで、1時間半ほどで着いてしまう。その間に位置するガーンジー島は、今では風光明媚な観光地だが、戦時中はドイツ軍のイギリス攻撃の拠点として、海岸には地雷が敷設され、沿岸には多く砲台が設置されていた。

砲台の建築には、捕虜が島に送り込まれ、奴隷以下の扱いで作業に従事させられた。子供達の殆どが、イギリス本土へと疎開し、健康な男たちは徴兵され、島の人口は半分になった。家畜は没収され、ジャガイモの栽培を励行され、夜間は外出禁止となり、島民はやせ細りながら希望を失っていった。

その島民に、エリザベス・マッケンナという女性が、微かながら希望の光を灯す。読書会を開き、島民の憩いの場を作り出したのだ。その事を、偶さか知った作家のジュリエットは、読書会の事を書きたいと思い島へ取材に渡る。だが、その読書会を巡って、さまざまな隠された秘密があることを知る。

戦争という絶対悪がもたらした、深く醜い爪痕による消えない傷跡を描く一方、気高い人間は、人種を問わず存在する事を訴えている。ドイツ人にも善人はいれば、イギリス人にも悪人はいる。ステレオタイプにカテゴライズすることの危険性を考えさせてくれる。

原作の翻訳は現在では、残念ながら絶版だが、いずれ大手の出版社が版権を買い取って文庫化してくれるだろう。これだけの傑作なので、埋もれてしまうのは惜しい。原作では、もっと多彩なエピソードが展開している。書簡形式で書かれているので、最初は慣れないと戸惑うかもしれないが、非常に良くできた傑作である。

フォーカスをぶらさず、映像化はとてもうまくまとまっていると思う。一冊の書物がもたらすことがある奇蹟の邂逅がうまく描けており、これならば、もし、この映画を原作者が観れたとしたなら、本望でないだろうか?

原作者のメアリーに会ったことはない。写真でしか見たことはない。会いたいとどんなに願っても、それが叶うことはない。自分の処女作がベストセラーになったことを知る由もなく、出版前に彼女は息を引き取ってしまった。未完成であった本を、彼女の姪で、作家であったアン・バロウズが個人の意志を引き継いで完成させた。ただただ、生前にこれほどの作品を残してくれたことに深く感謝するばかりだ。メアリーの遺作は永遠の輝きと共に、映像化もされ、後世に語り継がれていくだろう。

メアリー・アン・シェイファーを偲んで。
【マジ感じイイ島での、読書とパイと豚さんと】

イギリス海峡にあるガーンジー島。
この島の存在自体知らなかったですし、第二次世界大戦で、ドイツ軍によって、ここが占領されていたことも初耳です。
ドイツ軍は、英国本土の間近まで迫っていたのですネ。
マジか...

隠し豚さん料理とポテトピールパイと手作り酒で盛上り、ひょんなことから読書会が立ち上がります。
不自由な生活の中で、島の隣人たちは、読書と語らいに癒されます。
希望を失くした人に読書が与える力、本が結び付けるご縁など、読書好きは見逃せない内容です。
マジに...

ところが、会員ナンバー3番、エリザベス。
真っ直ぐな人だけに、手に負えないところがあります。
確かに、心のままに生きることは素晴らしいとは思います。
でも、短絡的だし、首尾一貫してないんじゃないかと感じて、正直イマイチ共感できません。
マジで...

この作品の欠陥はここだけなんですけど、でも致命的な欠陥なんですよねぇ。
まあ、リリー・ジェイムズのオシャレな装い、最後のパンもくれる心優しきイケメン養豚業者、戦争なんてなかったかのように美しい島の風景あたりで、マジ素敵~っと思っておけばいいのかもしれませんが...

このレビューはネタバレを含みます

2019/09/04に鑑賞。
竜頭蛇尾。
リリージェームズの美しさは認める。てかその美貌がこの映画の魅力の半分くらい。
「秘密」とあるからもっとエグい何かの事件があったかと思ったが脚本の描かれ方も含めて言うほど大事件には思えない。
それよりも衝撃的なのは主人公がいい加減な気持ちでプロポーズを受けて、島での生活で言うほど深く交流も無い文通相手にコロッと持っていかれて婚約破棄してしまう事。
戦争は男たちが大量に死んでしまう。女はそのせいで相対的に地位が低下する。寡婦や未亡人生涯独身の女が多数出てくる。映画の中でもそれは少しだけ出てくる。だが主人公は圧倒的に美人で人気作家で日常からファンに贈られた花束が「花瓶が足りないほど」溢れる。米軍とも通じたアメリカ人の羽振りの良い彼氏と出版社編集のインテリで誠実な彼もいる。結果的に田舎の離島の軽い障害持ちの養豚業の農夫と結ばれてどちらの連子でも無い孤児を育てて幸せと言うのだが、「ロンドンの新聞に載るのよ」と主人公が島で最初に言って反発される事件もあった様に華やかな首都の暮らしが「良いに決まっている」と言う価値観は主人公自身のモノだ。農家の嫁として嫁いで未経験なのに無問題だったの?いきなり孤児の養母と言うのも子供とお友だちになる事とは天と地ほども違う。どこをどうやったらその華やかな文化への執着を出家したように簡単に諦められるのか? また田舎特有のギスギスした人間関係に溶け込めたかも怪しい。だがそこは端折って自然の素晴らしさと風景の美しさと子豚の可愛さに全面的に塗り替えてある。
きもち

きもちの感想・評価

5.0
ユーモア、怒り、悲しみ、美しい風景、読書、ミステリー、ラブ、すべてが詰まった映画…最高…!!!
空腹状態で観たためローストポークのくだりが非常に辛かったけど、その後はぐーっと引き込まれた! リリー・ジェームズの笑い声、好きだな〜
はむ

はむの感想・評価

3.9

このレビューはネタバレを含みます

予告を観て気になっていた作品。
ミステリーものですが、思ったより恋愛要素が強かった気がします。
冒頭から物語に惹きつけられ、ガーンジー島の美しさに魅了され、登場人物の個性的な人々に魅了されました。
子役2人もとても可愛くて良かったです。
ほんの少しの登場だったキットの父親のドイツ人の青年も好印象で死んでしまったと知って残念に思ったり、キャラクターが皆良かったです。

戦争による悲劇が物語の根底にあるけど、悲しいだけではなく、物語のラストは温かい気持ちになれて、観て良かったと思える作品でした。
yuzoo

yuzooの感想・評価

3.5
いい話だけども、キャスティング?どちらかというとフェリシティジョーンズ向きな役だった。頑張ってリリーちゃんをオードリーぽく見せようとするアングルを探ってる感じもあった。
Shmh23

Shmh23の感想・評価

5.0

このレビューはネタバレを含みます

戦争でトラウマを抱えた女性ライターが、ひょんなことから小さな島の住民と読書会を通して関わり、自分の居場所に巡り合う物語。島の豊かな自然の中で、本への深い愛情を持つ登場人物の人間模様を丁寧に描き出している。読書会という地味な題材だけれども、「語ることを共有すること」が人との絆を深めてくいくのだと映画を通して強く伝わってくる。セリフにすごく勇気がもらえた映画。2度鑑賞。
チエ

チエの感想・評価

3.5
思っていた以上に悲しい戦争のお話でした。悲しいことを受け止めて、本当の自分を見つめ直す。私も地に足をつけて歩まねば。

イギリス×島っていう舞台はそれだけで贔屓目になってしまうね。
英国領では無く、英国王室属領のチャンネル諸島。(よくわかりません!)
ガーンジー島も含まれるチャンネル諸島の歴史は、極めて複雑怪奇!
地政学的には、限りなくフランスに近く、住民も大多数はノルマン系フランス人(この意味もよくわかりません!)
ここが第二次大戦中に、ドイツに占領されたのだからややこしい。
昔、ジャック・ヒギンズの小説にこのエピソードがあった気がする。

これらの背景は多くの日本人は知らないはずなのに、勇気を持って公開した配給会社の英断に感謝!
ただし、公開劇場があまりに少ないのは仕方がないか。

目下大活躍のリリージェームスをはじめとして、英国俳優のウィットに富んだ芝居には脱帽。

要するに、細かい背景をよく知らなくても、しっかりとした脚本と確実な演技者、有能な演出家がいれば面白い作品になることを示した典型的な逸品。

チャネル諸島の勇壮な景色を背景とした、主人公のちょっとコミカルな探偵劇には思わず微笑みを。
読書会のメンバーの、キャラが立っているのに感心させられる。

主人公との別れ際に、アダムズがフランス語で挨拶したように見えたのは深読みか?

俄然、興味が湧いてきたので、原作本を探したら絶版とは。
nakatsugi

nakatsugiの感想・評価

3.9
良い意味で見込みと違うストーリー。
人は自分の居場所がどこにあるのかを探しながら人生を旅している。それが見つかるか見つからないままか、見つかったのに気づかないか。ストーリーが途中から色あいをぐんぐん変化させていくのは、その旅路での出会いの偶然と必然の紆余曲折を表しているかのようだ。要所要所での小道具の使い方がとても上手い。
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