猫マッチョ

ブリグズビー・ベアの猫マッチョのレビュー・感想・評価

ブリグズビー・ベア(2017年製作の映画)
5.0
2020年度お気に入り名作映画

映画の楽しみの一つとして「次の展開を予想する」がある。サスペンスでよくある犯人を探して当てる喜びに似ている感覚である。どんな映画でも少なからず展開を予想しようとするが、この映画は序盤に次の展開を予想すると良い意味で裏切ってくれる。ここまで書いてもネタバレにならないくらいの展開があって、尚且つ映画通であればあるほど裏切りにあう。

ただ、序盤だけで終わってしまえばラズベリー賞となってしまうがこの映画はその後もよく作り込んである。そこには大きな意図が含まれている。


この映画は序盤の展開の裏切りが無ければ荒唐無稽なファンタジーな物語である。資金力からしても人材力からしても技術力からしても現実的とは言い難い。
例えるなら全盛期の週刊少年マガジンのコンセプトである『現実的だけどありえない』物語である。もっと例えるなら『金田一少年の事件簿』である。この漫画の犯人は多芸で日体大並みの体力と運動力を持ち合わせているエリートでしかない。でも野暮な事を考えずにミステリーとして楽しもうというコンセプトである。

作り込んであるからこそ序盤の映画への吸引力が大事なポイントになっている。この序盤の展開が無ければ物語が広がっても矛盾やツッコミが多いので映画の世界より一歩手前で観てしまう。物語に筋も山場もあって、教訓や感動もあるのだが他人事で見るか自分事で見るかで変わってしまう。


アメリカの映画の根本にある「異質な人間は個性である」が描かれているのは多民族国家としての強みとして考えれる。色々な人がいると世間ではたれ流されている言葉も具体性が無く「異常な人間」と十把一絡げにしては他人への思いやりが欠けている冷たい国民性だと思う。
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