mito

ブリグズビー・ベアのmitoのレビュー・感想・評価

ブリグズビー・ベア(2017年製作の映画)
3.9
新作も少なく、比較的外れの多かった機内鑑賞で一際強烈に印象に残った作品。

産婦人科から一人の新生児が誘拐されて十数年、誘拐された少年は監禁されている事実を知らずに、年老いた偽りの両親と過ごしていた。
彼は毎日自分の元にVHSで送られてくる、連続TVドラマ、ブリグズビー・ベアーの大ファンだった。
それが両親の捏造したTVドラマとは知らずに…。

その後、開始数分であっさり警察が突入して来て彼は保護されるのだが、ここからがこの映画の面白いところ。

話としては「ルーム」のように監禁された故の浦島状態への葛藤がメイン。
そこに誘拐犯が製作したドラマ、ブリグズビー・ベアーが絡んでくる。
彼は映画の存在を知り、思い入れのあるブリグズビー・ベアーの劇場版と位置付けた最終話を製作しようとする。

本来なら、この行為が彼の現代に適合出来ない故の逃避という演出付けが常なんだけど、この作品は最終話の製作=過去の監禁生活そのものと、偽りでも自分を大事に育ててくれた親との決別と位置付けている。こんな作品は余り見たこと無い。

また虚像を追い掛ける、主人公を登場人物全員が優しく見守る様はラースとその彼女を彷彿とさせる。

主人公がイケメンでもなくナポレオン・ダイナマイトみたいな風体なのも不意打ち。
役者については地味に誘拐犯の夫がマーク・ハミルだったのは最後のジェダイ公開タイミングってのもあり、少し驚いた。

先程も行った通り、ルーム meets ラースという何とも不思議な作品。
mito

mito