とえ

ブリグズビー・ベアのとえのレビュー・感想・評価

ブリグズビー・ベア(2017年製作の映画)
4.5
予想外に最後の10分間は号泣だった!

幼いころに誘拐されてから25年間、家の中でテレビ番組「ブリグズビー・ベア」だけを観て育った青年が、25年ぶりに救助され、初めて外の世界で暮らし始める姿を描いたコメディ映画

この映画が救いなのは、ジェームズを誘拐した夫婦が、ジェームズに愛情を注いで育てたことで
そこは、時々「万引き家族」を思い出しつつ
本当に子供が好きだけど、子供を持つことができない夫婦の不幸から生まれる衝動を感じた

けれど「万引き家族」と違うのは、ジェームズの実の両親も、本当に良い人たちで、いつかジェームズが帰ってくると願って信じていた人たちだということ

けれど、そうなって一番困るのは誘拐された本人のジェームズ

愛情を注いで育ててくれた両親を憎むことはできないし
かといって、突然現れた本当の両親や妹と、どう接していいかわからない

そこで、ジェームズは映画と出会い、映画製作にのめり込むことで、外の世界と繋がるようになる

私が、この映画で最も感動したのは、その「映画が人を救う」というところ

私も、辛い時には学校サボって映画を観に行ったりしてたし
大人になってからは、映画の話をすることで繋がれた友人たちもできた

それはジェームズも同じで「ブリグズビー・ベア」の映画を作ることで、彼はようやく「外の世界で生きている実感」を得ることができ、家族とも心から繋がれるようになる

そんなジェームズを観ていて、
映画に限らず「好きなことを好きだ」と表現することは、とても大切なことだし、それは時に、その人を救うことになるんだと思った

歌うことが好き
おしゃれをすることが好き
なんでもいい

たとえそれが人と違っていても
時代遅れでも、ダサくても
自信を持って「好きだ」と言える気持ちは、きっと周りの人たちの気持ちも動かすことになる

その好きな気持ちの連鎖が広がっていくところにとても感動し
号泣してしまった

映画好きはもちろん、全ての人にオススメの作品
とえ

とえ