TaichiShiraishi

ブリグズビー・ベアのTaichiShiraishiのネタバレレビュー・内容・結末

ブリグズビー・ベア(2017年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

劇中のブリグズビーベアーよりさらに優しさに溢れたある意味ファンタジー的作品。
誘拐されてずっとブリグズビーベアーという架空の番組だけ見させられて育ってきた青年が、25年ぶりに救出されて、意外とすんなり世の中に馴染んでいく話。

主人公の周りの人間全員優しくてすぐに受け入れてくれるし、主人公もそんな境遇の割には人格まともだし、誘拐してた犯人夫婦ともいい感じに和解するしと、そんなわけないんだけど見てて気持ちいい優しい世界観でたまらない。

25年間誘拐されてたので、主人公がニュースで有名人になるけど、それによるマイナス要素はあんまり描かず、人生初のパーティで女の子が誘ってきてくれたり、
初対面の人がすぐにオタク仲間になって映画撮影を一緒にしてくれるとか、その映画をYouTubeにアップしたら大人気になるとか、
オタクの願望満載な感じも微笑ましい。


誘拐してた犯人夫婦がブリグズビーベアーを通して大事な道徳や教養をある程度は教えていたんだなってわかるし、だからこそ25年間外界と隔絶して暮らしてた主人公もすぐにある程度馴染めたのかもしれない。

刑事が演技にのめり込んでいくくだりや、爆発が起きるシーンとか爆笑ポイントも満載。


誰か1人でも大ファンがいれば、どんな創作物でもそれを作った人や作った動機が不純でも価値があるって思えるメッセージがいいね。

犯人たちはあんなに毎週毎週しっかりビデオ作って、ネット掲示板までねつ造してたけど、それも歪んでいて不器用ながらも優しさだったのだろう。その犯人を演じるのがスターウォーズを卒業したマークハミルってのもグッとくる。ずっと世界的な神話的シリーズの主人公だった人が、チープながらも自分で1人の人間にとっての神話的作品を作る元デザイナー役を演じているっていう目配せが切ないし気が利いてる。

上映時間も短いし、サクッと笑って泣ける快作です!
TaichiShiraishi

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