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ブリグズビー・ベアのSPNminacoのレビュー・感想・評価

ブリグズビー・ベア(2017年製作の映画)
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大人になるまで「グリグズビーベア」しか知らずその世界で育った男が初めて外へ。実はまるで『ルーム』みたいな話なんだけど、もともと彼はそれを物語として認識してる。そこがこの主人公をある種のナードとかファンとか或いはクリエイターとか色んな立場にも重ねられるし、他の「映画作り映画」同様のカタルシスへと導くのだ。なので先が読めるといえばそうなのだけど、彼が出会うリアル世界の人々のエピソードが「こうあってほしい」通りに展開するのが嬉しくなる。
しかも「グリグズビーベア」は当時のビデオカメラならではの映像がたまらないし、1日の教えに笑っちゃうし、いびつな情熱がヤバい。監督の話によると、なるほどこれはアウトサイダー・アートなんだな。そしてあの物語とジェームズと彼らの現実の境界が、繊細に曖昧に柔らかく溶け合う。ギクシャク衝突するはずの2つの世界があまりにも自然に温かく迎え合い、新しい物語になる。もうボロ泣きしちゃった。
「シェイクスピア俳優」グレッグ・キニアや「双子」のケイト・リン・シールが泣かせるし、妹や映画作りのパートナーもすごく良い。しかし何たってマーク・ハミル。愛さずにいられない狂気。さすがダークサイドのフォースの説得力。何せ彼ほど影響力を持ち、懐広く物語と共に生き続ける人は他にいない。マーク・ハミル、恐るべし。
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