HS

ブリグズビー・ベアのHSのレビュー・感想・評価

ブリグズビー・ベア(2017年製作の映画)
3.0
子ども向けのエンタメコンテンツとか、ごく限られた人にしか知られてない、「どうせ誰も知らないよ」を枕詞に紹介しないといけないアーティストとか。そういうものを心の支えに生きてきたことを恥ずかしく思う時期もあったけど、最近はそうでもなくなってきた。好きなものを好きと言えたり、やりたいことをやりたいと言えることで、本当に世界はいきなり大きくなる。好きなものを好きだと思い続ける力は、どんな形であれ自分を必ず次のステージに連れていってくれる。信じてきたエンタメの力を改めて見せつけられたようで、すごく幸せな気持ちになれた。

いつも観にいく劇団や舞台もそう。数時間だけの限られたアウトプットの後ろに、数ヶ月間の稽古期間で積み上げられた人間関係と、チームのみんなの数十年ぶんの人生が見えたとき。そういうときに、この時間とお金を払ってきてよかったな、わたしはこの瞬間のために今日まで生きてきたんだなと思えてる気がする。バックステージの映像を観たり制作秘話を聞いたりして作品のことをより好きになる場合も多いタイプなので、映画制作中の映像を見せることで両親を説得するシーンにすごく心を掴まれた。つくりたい人の情熱は、言葉に、表情に、空気の温度に現れて、関わる人たちの心を突き動かす。そういうチームでつくられたものなら、何度だって観てたいなといつも思っている。

スイスアーミーマンのポール型のクリエイターも、こっちの主人公みたいなクリエイターも、純粋すぎてややこしくてめんどくさいけど、やっぱりかっこよくて大好きなんだよなと思いました。映画館で観れてよかった。
HS

HS