クルードス

ブリグズビー・ベアのクルードスのレビュー・感想・評価

ブリグズビー・ベア(2017年製作の映画)
4.3
自分が好きなものを否定する権利は誰にもない。
それを周りからバカにされたり、冷たい目で見られた事が1度でもあるなら刺さる映画。

「好きな事を否定されてもめげずに目的に向かう映画」にすると、否定する側が一方的に悪者になるが、「誘拐した犯人が作った作品が好き」という設定にすれば、作品を否定する側が一方的に悪者にならないのが巧妙。

自分が楽しいと思える事を初めて他人と共有する場面は無条件でワクワクするし、初めて「友達だ」と言ったところは本当に良かった。
でも「こうしたらもっと良くなるんじゃないか?」という意見を友達と言い合って、皆でより良いモノを作っていく感があったら、もっと良かったかな。

一人ずつ理解者が増えていく感じは、グッとくる。
上映会で主人公が他人の評価を怖く感じるところこそ、本当の意味で外の世界と繋がった瞬間だったと思った。

精神病院から脱出する時に、友達から全く必要のない紙で作った武器を渡される。
「そんなものはいらないよ」と言わないのは、主人公が好きなモノを周りから否定されているからこそ、その人の大切にしているものを否定しない、という優しさが出ていた。

もちろん周りにいい人が多過ぎとか、主人公の外の世界への理解が早過ぎる等、ツッコミどころもあるが、そこを描いてたら「ルーム」みたいにそれだけで別の映画になりそうなので、省いて正解。

刑事が映画製作に参加するくだりは全部笑えた(笑)