黄推しバナナ

アルカディアの黄推しバナナのレビュー・感想・評価

アルカディア(2017年製作の映画)
3.5
監督 :
アーロン・ムーアヘッド
ジャスティン・ベンソン
脚本 :
ジャスティン・ベンソン
出演者 :
アーロン・ムーアヘッド
ジャスティン・ベンソン
キャリー・ヘルナンデス
リュー・テンプル


ある日、アーロンの兄弟の自宅にビデオテープが送られてきた…それは10年前に脱走した「アルカディア」と呼ばれる自給自足のカルト集団の村だった…世俗で暮らすことを選んだアーロンだが、街での生活に未だなじみきれず幼少期を過ごしてきた良き思い出の“アルカディア”に戻りたがっていた…1泊を条件にアーロン兄弟は“アルカディア”に戻るのだったが…

ジャンル的には
異端宗教スリラー
だが他の作品と比べて一風変わっている


他の作品ではカルト集団が異様な感じがして訪問者が正常なプロットが多い…それは異端宗教スリラー元祖的作品、ウィッカーマン(1973年)がそのプロットを踏んでいるからだと思われる。

※ウィッカーマン(1973年)
 監督 : ロビン・ハーディ

そのプロットから少し外しているのが今作である。

キャンプ・アルカディアの住人は変な感じの人々ではない…
むしろアーロン兄弟の方が少し違和感がある
精神障害か頭がイカれているのか…
冒頭はむしろそんな感じ…
キャンプ・アルカディアの村人たちは幸せそう…
キャンプ・アルカディアの村に入ってから少しずつ…少しずつ…見えない違和感が始まる…
村人はその見えないモノを崇拝している…
その崇拝しているであろうモノが少し…少しの違和感の点と点を結ぶことによって明らかになっていく…

英題は
「The Endless」
翻訳 : 終わりのない、永久に続く、無限の、果てしのない(ように思われる)、長々とした、無数の、循環の

邦題は
「アルカディア」
ギリシャのペロポネソス半島中央部にある古代の地域名で後世に牧人の楽園として伝承され、理想郷の代名詞となった名称はギリシア神話に登場するアルカスに由来する。

エデン
Eden
ヘブライ語で「喜び,楽しみ」の意。
“創世記”2章8以下によればヤハウェが最初の人アダムとイブのために設けた楽園
エゼキエル書では「神の国」
イザヤ書では 「ヤハウェの園」
ともいわれている。

“キャンプ・アルカディア”の周辺では入ると出れなくなるエンドレス現象が起こる
そこに入ると永遠が発生する
永遠の時間であり
永遠の命であり
永遠の苦痛でもある

その現象という力は
神が起こしたものなのか
宇宙人が起こしたものなのか
それとも超常現象か
自然現象か

劇中でアーロン(アーロン・ムーアヘッド)が“10年間の生活も同じことの繰り返しだった”と言った台詞があるが、“キャンプ・アルカディア”の生活であろうと、日常の生活であろうと人は同じ事の繰り返しをしていると揶揄している…

崇拝している見えないモノも、キリスト教であったり、仏教であったり、異端宗教の神であったり、何者に属さない抽象的な神であったり、宇宙人であったり、ウルトラマンであったり、シトであったり、ショッカーであったり、教祖であったり、崇める人によっては形は変わる…

異端宗教カルト集団も見る方向性を変えれば、国、市町村、会社、学校、家族、ネットも集団である場所それはもはやカルト集団では…
本作では“キャンプ・アルカディア”から見たアーロン兄弟の住んでいた、自宅であり、会社であり、市町村であり、国であり、社会は、異端宗教のカルト集団ではないか!?
逆に“アーロン兄弟”から見たキャンプ・アルカディアの村人は異端宗教のカルト集団ではないか!?という事である…

アーロン・ムーアヘッド
ジャスティン・ベンソン
両監督が描きたかったものは、こう言った見る人や、見る方向性の変化で、異様なものに見えたり、神秘的なものに見えたり、奇跡的なものに見えたりする、そう言った違和感と言う異質なものをホラー作品の中に取り入れて新しい異端宗教スリラーを作りたかったのではと思う…

だから本作で起こる現象という力は

神が起こしたものなのか
宇宙人が起こしたものなのか
それとも超常現象か
自然現象か
その答えは示していない…

気持ち悪さだけが残る作品になっている…

まさに異端…

①鑑賞年齢40代
②心に余裕鑑賞なし
③思い出補正なし
④記憶明確
黄推しバナナ

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