きぬきぬ

アルカディアのきぬきぬのネタバレレビュー・内容・結末

アルカディア(2017年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

クライマックスのカルト教団の三つの月が満たされる夜の儀式めいた様を見るからに、過去から保管されてる映像素材もあって、彼らがいつからループをエンドレスに繰り返しているのかわからない。彼らが呼んでしまったのか、その地を支配しているのか魔物の存在はラブクラフトが創造した太古の神的なもので、そのイメージは随所に示唆される。兄弟はたまたま子供の頃その地で事故に遭い彼らに救われ、ループから逃れられていたようで、教団を抜け出したものの、現実社会に馴染めず、兄に指図されることに嫌気の差してる弟が教団の穏やかな充足を求めて、1日だけ帰ることになってしまう。しかも違和感と不穏さを感じ続ける兄と違い、弟は教団の居心地の良さに留まろうとさえする。
リセットされループされる繰り返しの人生の中で教団の人々は生きている。穏やかさは諦念でもある。教団外の運悪くリセットとループに巻き込まれた人々も繰り返す人生を生きその中であがいている。死ねない死者、生ある死者。それもまた煉獄。

それは見えない存在を感じるように次第に認識されていく。
これがとても興味深く面白い!
アーロン・ムーアヘッドとジャスティン・ベンソンは前作の「SPRING/モンスター変身する美女」が偏愛してるくらい好きで、「キャビン・イン・ザ・ウッズ」から比べると格段と精度を増してるし、インディと思えぬ(監督/主演/スタッフのムーアヘッドとベンソン!)とても素晴らしい画作り。グロな描写も用いずホラーというよりも幻想的なSFと言える。描写される映像の表現がとても良いのだわ。
「モンスター/変身する美女」でもラブクラフトへの傾倒は見て取れたけど、今作は異次元の神の存在はあからさま。そんな大いなる神に対して繰り返される生を生きようとし、また抵抗する人々の悲劇の中のタフさに感じ入りますわ。
繋がってる「キャビン・イン・ザ・ウッズ」再見しようと思った。
きぬきぬ

きぬきぬ