茜

セブン・シスターズの茜のレビュー・感想・評価

セブン・シスターズ(2017年製作の映画)
3.9
SF・サスペンス・アクションと多彩な要素が盛り込まれていて、飽きさせない展開に120分があっという間。
辛いお話ではあったけど、お涙だけじゃなく家族愛やロマンスまで沢山盛り込まれていて、贅沢な楽しみ方の出来る一本。

まず物語の入りから設定がしっかりしていて説得力を感じたし、すっと自然に入り込めた。
人口爆発と食糧不足のために生み出された遺伝子組み換え作物の副作用で多生児の出産が相次いだ事により施行された一人っ子政策。
一人っ子政策自体が中国で実際にあった事なので、聞き覚えのある言葉という点では馴染みやすい。
祖父による手厚い保護を受けて育った7つ子の月曜、火曜、水曜、木曜、金曜、土曜、日曜は名前と同じ曜日の日だけ外出を許される。
これも単純に7つ子だから名前を曜日にしようってだけじゃなくて、ちゃんと一人っ子を装うために名前と同じ曜日にだけ外出出来るっていう設定に繋がっているところも妙に感心してしまった。
ただ30年間もこんな生活を耐え忍んでいたという点はにわかには信じがたい設定ではあるけども…。

7つ子はノオミ・ラパスが一人7役で演じていて、曜日毎に異なるバラバラな性格を見事に演じ切っている姿が素晴らしい。
肉体派のアクティブ女子から内気で気弱な女子、奔放で自由な女子など、髪型や服の違いだけではなく、性格の違いまでちゃんとこちらに伝わってくる演技力。
迫真のアクションシーンもお見事で、部屋にある色んなものを武器にして戦うバリエーションの豊富さににんまりしました。

原題の「What Happened to Monday?」はお洒落だけど、ややネタバレ感…。
でもお話の根底にあるのはサスペンス的な謎解き要素よりも「大切な命を守りたい」という愛情なんだと思ったし、だからこそ根本的に何も解決していないラストはハッピーエンドとも言い切れず複雑な感情になって、重たい余韻の残る映画だった。
茜