TaichiShiraishi

ワンダーウーマン 1984のTaichiShiraishiのネタバレレビュー・内容・結末

ワンダーウーマン 1984(2020年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

84年という舞台設定なのでオーウェルの「1984」を真似するのかと思いきや、冒頭のショッピングモールシーンでオマージュが捧げられたのはまさかの80年代の大味アクションの金字塔『コマンドー』。そして話の流れも『コマンドー』並の雑さで進んでいく。

まずなんといっても話をすすめるきっかけ及び真の敵となる何でも叶える”石”(正式名称忘れました)の能力設定がご都合と言うか何でもありすぎる。たとえばインフィニティ・ストーンでもデスノートでもそういう劇中のチートアイテムには「これはできるけどそれは物理的に無理」という制約がある程度あったはずなのだが、そこの設定がだいぶ曖昧だった。短時間とはいえ全人類のそれぞれの欲望が叶ったらあんなものでは済まないと思うのだが。

それに予告で散々見せられたワンダーウーマンの伝説の黄金の鎧が普通に〇〇にあったり、戦闘ではそこまで必要性が感じられなかったのも笑ってしまった。なんというか見せ場優先にした結果の破綻が多い。

しかしそれでも俺は本作が1作目よりも断然好き。なぜかと言うと1作目に比べて悪役2名のキャラがバリバリに立っていたから。それは単純にクリステン・ウィグとペドロ・パスカルが名演を見せていたのも大きいだろう。

それに脚本は雑さはさておき、なぜこの2人が欲望に負けて世界を滅亡寸前に追い込むかが必然性を持っており、2人と同じように一時は石の誘惑に負けて欲望を叶えてしまうワンダーウーマンのその後の選択との対比になっていて、高潔な心がヒーローたる所以というメッセージ性を嘘くさくなく伝えていた。

アクションもワンダーウーマンが人を守りながらの戦いや、高スピードの人間VS軍用トラックというあまり見たことないタイプの見せ場が用意されていて、少ないながらも楽しめた。久しぶりにド迫力の映像がスクリーンで見られる喜びが身にしみたが、そういう状態で見なくても大いに評価したい一作。

あとスティーブとのさりげない上品な別れからの一気にヒーローとして覚醒していく様は爽快。名場面

ただあの悪役2人が何の責任も取らされてないように見えたのは大問題。
TaichiShiraishi

TaichiShiraishi