パリパリ海苔

ご注文はうさぎですか?? ~Dear My Sister~のパリパリ海苔のネタバレレビュー・内容・結末

4.1

このレビューはネタバレを含みます

二度目の鑑賞。大量のぬいぐるみや着物を一日のうちに用意しているところや、パンの中に紙を忍ばせるところなど、ささいな部分が気になってしまった。このリアリティにはいまだに慣れない。極め付けはクライマックスの、ココアが町へ帰ってくるシーン。花火をバックにサプライズで登場するも、みんなは花火に注目しており、ココアに気づかない。目の前に突然現れて気づかないわけないだろう、と思った。しかし同時にこのシーンは、ココアがモカと同じ完璧なお姉ちゃんを演じる形ではない、彼女なりのやり方で町のみんなから(特にチノから)慕われていることを象徴している。彼女の「お姉ちゃん」性のバランスはひょっとすると作品の全体を覆っており、本作のリアリティへのある種の無頓着というか、ふわふわした感じもそのように理解すべきであるかもしれない。つまり本作の主眼は、キャラたちの生活を懇切丁寧に描くことではなく「空気」を提示することにあり、しかもそのためには徹底したリアリティはむしろ弊害になるのではないか、ということである。加えて、クライマックス(ココアのサプライズ計画)の不発は、本作自体が、長編にありがちな非日常の感動を目指しているわけではなく、それどころかむしろそちらへ向かう可能性を提示しつつ脱臼させることにより、壁の穴を通り抜けるようにしてぬるっと日常に回帰することに価値を置く作品であることを感じさせる。それにしても、ココアが帰りの電車に乗る前、モカのバイクで決意を表明するところはいい話っぽくなっているけれど、元々家族で姉として振る舞っていたモカと、突然下宿先の年下の女の子にお姉ちゃんと呼べと迫るココアとでは、全然違うでしょう。
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