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007/ノー・タイム・トゥ・ダイの盆栽のレビュー・感想・評価

4.0
ボンド、ありがとう


 お待たせいたしました、お待たせし過ぎたかもしれません、な『007』シリーズ25作目。不運にも何度も何度も公開延期となり、ようやく公開。『カジノ・ロワイヤル』から始まったダニエル版ボンドの集大成であり、過去の作品のオマージュをも感じ取れる「ジェームズ・ボンド」という一人の男を最大限に描いたエモーショナルな作品でした。

 『ドクター・ノオ』を彷彿とさせるようなテイストをはじめ、『女王陛下の007』レベルのロマンス、『スペクター』での芸術性のある長回しとは打って変わり迫力のある長回しといった、これでもかというほどあらゆる角度から007ワールドを堪能出来ます。

 『007』で難所の1つであろう悪役の描き方は『スカイフォール』でのシルヴァを超えるインパクトはなかったものの、ラミ・マレックの不気味な演技に惹かれるものでした。ブロフェルドよりもしっかりとヴィランしてて良きです。163分というシリーズ最長の本編時間も1分1秒たりと集中力が切れることはありませんでした。

 本作で最後のジェームズ・ボンドとなるダニエル・クレイグは本当の本当に素晴らしい偉業を果たしたと心から痛感しました。15年間演じてきた彼はボンドそのもの。涙無しには観られません。
有終の美とはこういうことなのか。

 次のボンドを誰が演じるにしろ、ピアースボンドからダニエルボンドの時とは比べ物にならないほどのプレッシャーやメディアからの批判がありそうですが、楽しみにその日を待ちたいと思います。



JAMES BOND WILL RETURN
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