しゅんすけ

007/ノー・タイム・トゥ・ダイのしゅんすけのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

「007/ノー・タイム・トゥー・ダイ」

コロナ禍で延期に延期を重ねてようやく公開されたグレイグボンド最終作。

監督は、「闇の列車、光の旅」で注目を集め、「ジェーン・エア」「ビースト・オブ・ノー・ネイション」、ドラマ「トゥルー・ディテクティブ」などを手掛けたキャリー・ジョージ・フクナガ。

164分という長尺ですが、予告観る限り、めちゃくちゃ面白そうだし、かなり期待して観に行ったんですが・・・・

結論からいうと、「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」みたいな映画だなと思ってしまいました。

良かった点を箇条書きであげると・・・
・映像がとにかく綺麗。(特にロンドンの朝焼けを映したシーン)
・中盤に出てくる、ドジっ子風新人敏腕スパイ、パロマ(アナ・デ・アルマス)がめちゃくちゃかわいい。
・ガジェットが相変わらずかっこいい。
・アバンタイトルで見せるド派手なバイクシーン
・列車の窓からのOPタイトルin(ビリー・アイリッシュ良い)
・新007は黒人でも、女性でもOKという次作以降へのパスを作った

悪かった点も、箇条書きであげると・・・
・「スカイフォール」以降、敵の行動の不明さ・詰めの甘さが目立つ
・マドレーヌ(レア・セドゥ)まわりの過去話がとにかく面倒くさい
・新007(のちに称号をボンドに返還)が終盤の銃撃戦以外、あんまり役に立っていない
・やっぱりボンドを退場させてしまうのは・・・・

良かった点は、とにかくアクションが素晴らしいのと、映像の綺麗さでした。キャラクターでいったら、アナ・デ・アルマス演じるパロマが最高で、セクシーかつ可愛いし、パロマで映画作ってほしいなと思いました。「ノック・ノック」「ブレードランナー2049」「WASPネットワーク」のときはグラマーな印象で、「ナイブス・アウト」のときは、野暮ったい感じ、本作は、すらっとした体型が印象的で、演技の幅が広いなと思いました。「Blonde」という映画で、マリリン・モンローを演じるらしいので、アナ・デ・アルマスの今後がより楽しみになったっていうのがこの映画の一番プラスな点かなと思いました。

悪い点としては、新007があんまり輝いてなかったところがかなり不満に感じました。ほんとに肝心なときに役に立たなくて、MI6内に潜入している敵側のスパイなんじゃないかと思うぐらいでした。「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」でいうローズぐらいに受け入れられなかったです。黒人で女性というのは、今の時代を意識してるんでしょうけど、「女性や人種のこと、ちゃんと意識してますよ~」っていうポーズにしかなってないような気がしました。だったら、ちゃんと活躍させて娯楽性も女性の活躍度も高めてよと新007まわりの描写に関しては思いました。

あと、レイティングの関係で残酷描写が描けないのはわかるんですが、「トゥルー・ディテクティブ」でも「禁断の儀式のテープ」(ウディ・ハレルソンがそのテープを見て、発狂してしまうシーン)みたいに直接的な描写なしに役者の表情だけでエグさを想像させることは、フクナガ監督ならできたはずなので、展開的にもっとエグさを出すことはできたんじゃないでしょうか? (例えば、主要メンバーやマドレーヌ、マチルダの退場) そうでもしないと、なかなか敵であるサフィン(ラミ・マレック)
の凶悪さというのがイマイチ伝わらない気がしました。

グレイグ・ボンドに完全にフィニッシュを与えるエンディングとなったわけですが、ちょっと終わり方(弔い方)があっさりしすぎな気がしました。「アベンジャーズ/エンドゲーム」ほど盛り上げろとまでは言わないですが、なんかボンドの遺志を継いで、各々が新任務に赴く姿を描くとか、そういうのでもあった方がいい気がしました。

ボリューム満点だけど、いろいろ不満が残る1作でした。
やっぱり敵のやろうとしてることの壮大さとか、主人公チームの連携などという点で、「ミッション・インポッシブル」シリーズに大きく差を開けられてしまったっていう印象です。

新ボンドは誰が演じるか不明ですけど、グレイグ・ボンドで「007」が批評的・興行的な面でもランクを上げたのは、間違いないので、引き続き追いかけていきたいと思います。できれば、パロマで映画何本か作ってほしいです。