ホイットモア大統領

007/ノー・タイム・トゥ・ダイのホイットモア大統領のレビュー・感想・評価

4.3
IMAX2D字幕版鑑賞

感想書くのに4ヶ月かかりました笑
どうも、スランプに陥ったベストセラー作家の気持ちの大統領です。

あくまでも主観だけど、本作までのダニエル・クレイグ版『007』のテーマはそれぞれ、

『カジノ・ロワイヤル』:「007(になること)」
『慰めの報酬』:「感情」
『スカイフォール』:「復活/再生」
『スペクター』:「過去との対峙」

だったと思う。

そして、クレイグ版最終作にあたる本作は「家族/愛」という、普遍的でありながらもそれまでのジェームズ・ボンドとは対極の位置にあるテーマをもってきた。

結果、これが賛否両論を巻き起こすきっかけになった気がするけど、とりあえずそれは置いといて作品の感想を。

ボンドよ、お前まだヴェスパー引きずってるんか…とか、ブロフェルドがM-1、ないしは春日みたいな登場の仕方をしたかと思いきや、ダチョウ倶楽部の押すなよ!?をするとか、サフィンの過去結局何だったん?とか、Mはよく乾杯できるな、とか…

脚本に4人も関わってるからか言い出したらキリがないんだけど、でも逆に、この雑さが『007』なんじゃないかな?と思いました。そもそも元から高尚なシリーズではないし、むしろ最後にして1番 “らしい” 作品になってたよ!

サフィンの畳落ちとか最高だったし、観る前までは “途中で命を落とすボンド・ガールの1人” ぐらいにしか思っていたなかった俺たちのアナ・デ・アルマスも、蓋を開けてみればボンドを食う勢いで魅力を爆裂させていて、ストーリーが全然頭に入ってこない弊害を誘発。
ブロスナン世代(かつそれ以前のシリーズのファン)としては過去一楽しかったです!…ラスト前までは。

結論から言うと、俺は否派。
約65年の歴史がある中で、“ジェームズ・ボンド” ならあの選択をしないはず。

劇中『女王陛下の007』のテーマ曲が流れた時は覚悟したけど、まさかそうなるとは…薮からスティック。
※最初に流れるED曲も、元々は『女王陛下〜』の主題歌です。

けど、事前にドキュメンタリー『ジェームズ・ボンドとして』を見てるかどうかで捉え方が変わってくる気がする。
現に自分も、「あ、そうか、これは “ダニエル・クレイグ” の物語なんだ。」と思い出し、シリーズの継続、ファン層の拡大という点でも、今は労いの言葉しかない!
実際、『スペクター』からは製作にも携わっているけど、そんなボンドって(今のところ)彼だけだしね。

とまあ色々あるんですけど、観終わってある程度頭の整理がついてから思ったことがもう一つ。

「これ、『ザ・ロック』やんけ…」。

細菌兵器をめぐる戦いで、引退していたMI6のスパイが絶海の孤島に侵入するも、ミサイル爆撃のリミットが迫る…
て、つまり、『007』シリーズ25作品目の記念作にして、20年に亡くなったショーン・コネリーへのオマージュでもあるとしたら…

他にも、サフィンの秘密基地が『二度死ぬ』や『ドクター・ノオ』ぽかったり、そもそもタイトルに「No…」があるわけで、コネリースペクトには枚挙にいとまがない。
また、25作品記念、かつクレイグ版の最終作という節目を、前述の通り『007』1作目(『ドクター・ノオ』)に繋げて “終わりだが始まり” にもするって、勘違いかもしれないけど、だとしたらめちゃくちゃ粋だぜ!!

しかしながら鑑賞直後は、クレイグお疲れ!という気持ちと、何してくれてんねん!という気持ちで心が「あわわわわ…」となり、このままじゃ帰れんぞ…と思ったので、急遽当日行われていたBABYMETALのライヴビューイングに参加し、事なきを得ることに成功しました。やはり、メタルを聴くと救われる。

そんなわけで作品の満足度はもちろん、映画友達と大いに語れる内容であり、Filmarks休止に至らしめるまで心をかき乱した、という点を加味して、本作が2021年度のベスト作品でした!

ちなみにBABYMETALで好きな曲は、「紅月」「ギミチョコ!!」「Distortion」です。