とりん

007/ノー・タイム・トゥ・ダイのとりんのネタバレレビュー・内容・結末

4.4

このレビューはネタバレを含みます

2021年81本目(映画館25本目)

ダニエルボンドの5作目にして最終作。
個人的にはこのボンドシリーズしか観てきてないので他のボンドシリーズと比較はできないが、素晴らしい終わり方だったと思う。
正直前回で現役を引退した、静かに過ごしましたで彼のシリーズは終わりと思っていたので、蛇足なストーリーになるのではという懸念もあった。しかしそれは序盤ですぐに覆された。
オープニングからまさかのマドレーヌとの別れ、それもジェームズが彼女に対して裏切ったと思い違いしてしまったことが始まり。しかし居場所がわかるはずもないところに刺客がやってきて、過去に裏切られた経験もあるのを考えると致し方ないにしろ、どちらも被害者。
再び心を開いたジェームズがやはり女性を信用することはできないという気持ちになってしまい、駅での別れのシーンは観ていても心苦しい。そしてそこでオープニングとなり本作の主題歌であるBillie Eilishの"No Time To Die"が流れる。これがまたさらに胸の痛みを増幅させる。これ以上にないまでの切ないアプローチをかけてきた。全体に流れる悲しい雰囲気も上手く表現されている。この曲のアレンジ版がまた良いとこで流れてきて涙を助長された。

勘違いとはいえ裏切りから始まり、そして再び彼女への愛を知り、愛のために死んでいくというこのストーリーは、1作目から4作目を凝縮したようなジェームズの心の動きも物語っているようだ。
任務の規模ももちろん壮大だし、出てくる兵器が新型のテクノロジーを駆使した兵器で、ついに来るとこまで来たかと恐怖さえ覚えた。このDNA使う感じなんて実際にあり得そうだから怖い。
まだ生き残っていたスペクターの組織の人たちが、前作あれだけ苦労したのにあっさり倒されるというの味気なかったけど、それだけあの兵器の恐ろしさというのも表れでもあった。
CIAとMI6が微妙な仲になっているや情報化社会なのに各国で上手く情報共有できていないところなどは実際の世界にも繋がる話だなと。

ただ前半の話組み立てるだけのCIAだったんじゃないかと思ってしまう。でもフェリックスの死は結構きた。これだけじゃなく本作は感動ポイント結構多かった。もちろんトドメは最後だけど。
エンドロールが1番泣きそうだった。"007"シリーズに強い思い入れがあるわけでもないけど、ダニエルボンドシリーズはどの作品も好きだし、そこからの喪失感というのもあるかもしれない。

お馴染みのセリフ"ボンド、ジェームズ・ボンド"という言葉も最後ジェームズの死後、マドレーヌが娘に話す時に発してエンドロールという幕引きもすごく良かった。
ただジェームズの死からエンドロールまでがあっさりしすぎたな。もう少し余韻残して欲しかった。ジェームズいないならさっさと終わってしまえ感はあるかもしれないが、そこは丁寧に描いて欲しかったかな。
全体としては素晴らしいストーリーや展開だったけど、そういう細かいとこは気になるところちょこちょこあったかも。
やっぱ気持ち少し物足りなさはあるし、ボンドが生き残るハッピーエンドに持っていって欲しさがあったという願望もある。

今回のボンドガールたちも素敵だったな。個人的に注目の女優でもあるアナ・デ・アルマス演じるパロマはキャラも腕も良くて、キュートで美しく敵を薙ぎ倒していく感じがすごく惹きつけられた。見せ場のインパクトはあったけど、出演時間短いな、後半が強すぎてそのことあんまり気づかんかったわ。
もう1人初参戦のラシャーナ・リンチ演じる新007、ここで黒人女性でしかもパートナーとして起用するのはシリーズラストとしてもこれまでの流れとしても良いとは思った。マネーペニーとは一時期組んでたけど、現場すぐ離れたから、しっかりタッグ組んで進んでいくのは良かった。
そしてやはりマネーペニーを演じたナオミ・ハリスが好きだなぁ。あの髪型がまず似合いすぎだし、今回かなり見せ場少ないけど、セクシーだった。
どの女性も一定以上は見せ場を増やさなかったのはきっと正ヒロインであるレア・セドゥ演じるマドレーヌを引き立たせるためだろう。相変わらずの美しさで魅了されっぱなしでした。
女性だけでも目の保養なのに、久々の水着姿のダニエル・クレイグ拝めるし、相変わらずキャラ大好きで顔も好みなベン・ウィショー演じるQは愛くるしい。文句言いつつもなんだかんだジェームズを助けてくれるのがホント好き。過去のQもこんな感じなのかな。
ラミ・マレックの悪役も嫌な感じ出せてたし、すごく良かった。
最後まで人間味ある感じ剥き出しなのがすごく親しみあった。
ちょいちょい日本感出すのはそこまでかなぁ。
とりん

とりん